「木工品の木目が一つひとつ違うように、陶器でそれを表現したい」と話す陶芸家の岡田さん。一つのスタイルにとらわれず、独創的な日用雑器を作り続けている。「ありふれた材料でどれだけ面白いものが作れるか。日々挑戦しています」。
ロハスフェスタの出展クリエーターに聞く
「木工品の木目が一つひとつ違うように、陶器でそれを表現したい」と話す陶芸家の岡田さん。一つのスタイルにとらわれず、独創的な日用雑器を作り続けている。「ありふれた材料でどれだけ面白いものが作れるか。日々挑戦しています」。
ただ「面白い」だけではなく、そこには、土をうまく扱うための理論がある。
例えば、パズルのピースをイメージした箸置き「パズル」。一つの型で抜くと短時間で量産できるが、その方法では土の端が引っ張られて角がシャープにならない。そのため、3辺にそれぞれ違う型を組み合わせて、形を作っている。
「全部同じ形だとパズルにならないですよね。違う形だからパズルになる。偶然はまるピースもあるんですよ」と岡田さん。自分だけのピースを見つけてほしいと話す。
シリーズ「気まま」は、石膏型ではなく、海辺で拾った自然の石に土を押し当てて作っている。そのため、作品にはいびつさが生まれる。しかし、そこが岡田さんの作品の魅力でもあり、面白さでもある。
焼締め技術と釉薬をかけあわせて生まれた深い色は、試行錯誤の結果。「焼締めは窯を開けてみないとどんな色になるかが分かりません。でも、わからないところがまた面白い」。何度も試して、ようやくイメージ通りの作品ができ上がった。
信条は、「土を捨てない」こと。「土は、一度焼くと元の土に戻るまでに何千年、何万年とかかります。だからこそ、土を無駄にはしたくないと思っています」。
作品づくりで余った土や釉薬にはそれぞれ個性や癖があるため、別の作品づくりに流用するには手間と時間がかかる。しかし、「バラバラの個性を持つ土も釉薬も、うまくまとめてあげるとちゃんとした器になるんです」と、個性を活かせるテイストの作品に生まれ変わらせ、材料を使い切る。
「何百年も前に作られたものでも、土器として出土しています。時代を超えて残るものだから、手間がかかっても自分も責任を持てる作品に仕上げたいと思っています」。