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ロハスフェスタの出展クリエーターに聞く

漁から燻製、販売まで。自然の製法と味を貫く。 -日和佐燻製工房-

熟成されたウィンナーのような薫香と魚介本来のしっかりとした旨味、歯ごたえの良さ。日和佐燻製工房の燻製は、加工品でありながら、自然のままの魚の美味しさをしっかりと味わうことができる。


燻製をすることで旨味が凝縮し、魚の味わいの中に肉やチーズのような嗜好性が生まれる。日本酒に合うもの、ワインに合うものなどさまざま。ぜひお酒とともに楽しんでほしい。

日和佐燻製工房では、朝、徳島県の漁港にあがった魚を競り落とし、その日のうちに燻製にする。

店主の濱さん自身が釣り上げた活きのいい魚を使うことも多い。年間を通して、その魚が一番おいしい旬の季節に新鮮なうちに加工を行うので、魚の味わいが強く仕上がる。

釣りが好きで、漁師のように大量の魚を釣り上げていたという濱さん。その魚で何かできないかと考えたところから、燻製づくりが始まった。最初は、手作りの燻製機を作って道の駅で実演販売をしていたという。

-Profile- 日和佐燻製工房 濱真一さん
徳島県生まれ。大学で水産学を学んだ後、水産会社勤務を経て2010年に地元徳島に帰県。2011年に「日和佐燻製工房」を創業。
「自分たちがつまみ食いをしたくなるような燻製を作りたい」と濱さん。自身でも毎日食べているのだそう。安全だからこそ、自信を持って自分の作る燻製が好きだと言える。

しかし、その味には濱さん自身、全く納得できていなかったという。「それでも、生活のためには売らないといけない。味見をしてもらって、納得してもらった人にだけ買ってもらっていました」と濱さん。この悔しい経験がバネになり、難しい燻製づくりへの探究心に火がついた。

最初は、手作りの燻製機を作って道の駅で実演販売をしていたという。しかし、その味には濱さん自身、全く納得できていなかったという。「それでも、生活のためには売らないといけない。味見をしてもらって、納得してもらった人にだけ買ってもらっていました」と濱さん。この悔しい経験がバネになり、難しい燻製づくりへの探究心に火がついた。

燻製は、アミノ酸を加えれば味はたちまち整う。しかし濱さん自身が化学調味料の過敏症だったこともあり、「本当に美味しくて安心なものを作りたい」との思いから、商品には化学調味料や添加物、保存料は一切使わない。醤油や塩の配合を0.1%単位まで変えながら理想の味に近づけていく。温度や熱を入れる時間も変えながら、その魚の旨味が最大限活かされるポイントを探る。気の遠くなるような作業だ。

天然ぶりスモーク(650円)。山桜で燻すとウィンナーのような薫香になる。くるみの木は、そのしっかりとした薫香をまろやかな香りで包み込む。
商品は卸売をせず、全て手売り。「見た目だけでは、好みの味かどうかが分からないので」と、お客さんと対面で話をして、試食をしてもらいながら販売している。

自身でも納得いく商品ができ始めたのは、3年目を過ぎたころ。工房に2畳ほどもある大きな手作りの薫製機を置き、ウバメガシの木炭、それに山桜とくるみの間伐材を使って約8時間かけて燻していく。じっくりと火を入れることで旨味が増し、ようやく理想の味を叶えることができたという。

時間も手間もかかる。利益や効率は後回しだ。しかし本当に美味しくて安心な商品を適正な価格で販売するのが濱さんのスタイル。「一日中燻製のことを考えています。今でも満足しきれているかというとそうでもなくて、まだまだ伸びしろはあると感じています」。食への探究心は尽きない。

濱さんも一時は毎日のように食べていたという「地だこスモークのオリーブオイル漬け(1,150円)」。冷やしてそのまま食べるのがおすすめ。
緑がかった燻製ハーブオイル(800円)は白身魚などあっさりした料理に合う。赤みがかっているのはガーリックオイル(650円)。ごま油が入っているので、餃子を焼くと美味しいそう。
丹念に燻製されるサツキマス。海に下った渓流魚アマゴが、産卵のため河に遡上するとサツキマスと呼ばれる。
日和佐燻製工房の目の前は徳島県日和佐の港。奥さんが抱えるのは獲れたばかりのシイラ。創業当初は自ら漁までしていたという濱さん。現在でもエイやスズキは自ら獲るという。
出来立てのソウダガツオ(左)とサバ(右)の燻製。140度・2時間と、高温・短時間で仕上げる。ブリやヒラマサなどは20度で10時間かけて燻し、生ハムのような食感を出す。