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伝統を守りながらも進化を続ける、梅農園5代目の挑戦 - 松本農園 –

松本農園は、創業から100年以上続く梅農園。和歌山県と三重県に合わせて8haの農園を有し、5代目代表の松本 清さんを中心に、家族で経営している。



品種は紀州南高梅。生産から調味まで、全てが手作業だ。梅の実は一斉に収穫するのではなく、完熟して自然落下した実だけを拾う。そのため、収穫日は梅の気分次第。20日間ほどの収穫期間は、全ての畑を毎日回るそう。「手間はかかりますが、完熟梅はやわらかさが違います」と松本さん。

その言葉の通り、松本農園の梅干しは唇でかみ切れるほど柔らかく大粒。甘みと酸味のバランスが良く、まろやかな味わいで、子どもから大人まで愛されている。その味の秘訣は、代々受け継がれている天日干しの製法にある。今では、ビニールハウス内で干すのが主流で、自然の太陽光に当てる製法を続けている農園は随分減っているという。

-Profile- 松本農園 松本 清さん
2014年から、創業100年以上の松本農園の5代目代表に。伝統を守りながらも、梅アイス、梅ジュースなど時代に合わせた新商品の開発にも力を注ぐ。

しかし、塩に漬け込んだ実を昔ながらの「杉の木ザラ」に並べて天日干しすると、パリッと干し上がり、塩が表面に出てくるという。干した後はじっくり一年間寝かせて熟成。すると実の中の酸味が均等になって、食べやすくまろやかな味わいになり、香りも立ってくる。

以前は、天日干しした段階で梅を出荷していたが、8年前からは生産から調味、販売までを手がけるようになった。「生産するだけではお客さんの声が届きません。でも、自分たちで販売をするようになってからはお客様の要望が聞けるようなり、ニーズに合わせて商品の種類も増えました」。粒のサイズを変えたり、小分けパックを作ったり、味を増やしたりと、様々な商品化を行ってきた。

「杉の木ザラ」に並べて天日干しをしている様子。

最近では、農園の一部で無農薬栽培にも挑戦している。化学肥料も使わず、山の葉を集めてきて微生物のエサにするなど、土作りからこだわっている。もちろん、農薬を使わず栽培することは簡単ではない。

「今年10年目になる梅の木に虫が入って枯れてしまいました。梅の木は5年目ごろから実りだし、8年目ごろからやっと商品にできるような一人前の実をつけます。それが、これからという時に切らないといけなくなりました」と肩を落とす松本さん。「無農薬栽培だと手間がかかるうえに、実る量も通常の半分になってしまいますが、皮がしっかりとして独特の風味が楽しめます。これからも試行錯誤を繰り返し、無農薬栽培の良さを広げていきたいですね」と前向きに語る。

和歌山県と三重県に合わせて8haの農園をもつ松本農園では、紀州南高梅を育てる。
梅干しは290g 1,080円~ 。昔ながらの酸っぱい梅干しから、子どもでも食べやすい「フルーツ梅干し」まで、味や塩分濃度ごとに様々な梅干しがラインナップ。
週末になるとイベントなどに出店し、対面販売を行う。お客さんとの会話は、新しい商品づくりのヒントになる。
白干しやシソなどオーソドックスな味のほか、三重県尾鷲産の手作りかつおぶしを使ったかつお味や、沖縄産の岩塩で漬けたものなど、いろんな味づくりに挑戦し、次々に商品化している。
2kgの梅を煮詰めて梅のパワーを濃縮した、昔ながらの梅エキス。風邪予防や疲労回復、お腹の調子が悪い時に1さじなめると良いのだそう。