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ロハスフェスタSDGsオンラインセミナー Webアーカイブ
第2回 地方創生・関係人口 / 講師:指出一正 氏

今、世界で推進されているSDGs。世界の様々な問題を変革するため、国連で採択された国際目標です。ロハスフェスタでは2021年4月、SDGsオンラインセミナーを開催しました。講師はSDGsに取り組む3人の特別ゲスト。今回、セミナーをテキストアーカイブとして公開いたします。SDGsのいろんな事例をぜひ、ご覧ください。

SDGs(エス・ディー・ジーズ):Sustainable Development Goals(サステイナブル・デベロップメント・ゴールズ)の略。


SDGs ローカルツアーで集まってくれたみなさんと

こんにちは、「ソトコト」の指出です。今日はお勉強ではなくて、楽しい話ばかりをしようと思っています。「地域循環共生圏」という考え方があります。これは地域でのSDGsの実践である「ローカルSDGs」を指すものです。「ローカル」、「循環」、「共生」は新しい社会をつくる大事なキーワードです。地域と多様にかかわる人たち、「関係人口」も重要です。それらを伝えるために地域で活動をしている皆さんと対話を重ねてきました。これからそんな方たちのお話をさせていただきます。

 去年5月、徳島県上勝町に「ゼロ・ウェイスト(ゴミゼロ)・アクションホテル HOTEL WHY」がオープンしました。「資源の循環」をテーマにしたホテルです。この町のゴミ収集所の敷地に建てられています。

『ソトコト』編集長 指出 一正
1969年群馬県生まれ。上智大学法学部国際関係法学科卒業。雑誌『Outdoor』編集部、『Rod and Reel』編集長を経て、現職。 地域行政によるさまざまなプロジェクトの講師、委員、監修などを務め、内閣官房や環境省、国土交通省、総務省、農林水産省など、省庁による各種会議、会合の委員・アドバイザーも務める。

このホテルの運営に携わっているのは、循環の問題などを勉強していた大塚桃奈さん。上勝の人たちと出会って上勝のゼロ・ウェイストを管理する会社に入り、現在は環境問題の責任者となっています。
上勝町は2003年に「2020年までにゴミゼロを」と宣言しました。現在、町にゴミ収集車は走らず、町民は軽トラックで収集所にゴミを運んで分別します。ホテルには廃材が多く使われており、泊まると自分で45種類のゴミ分別を体験します。大塚さんは上勝を「環境教育で若い人が訪れるまちにしたい」と言います。環境関係人口ですね。
 東京にも「地域」があふれています。地域として吉祥寺を面白くしていこうという取り組みが、「ブックマンション」です。70個の本棚からなる本屋でそれぞれ棚主がいるという、言わば「本のマンション」です。考えたのは中西功さんという方。「24時間営業の無人の古本屋」を考案し開店させた人です。その店では「本を補充する人」「掃除をする人」などが自然と次々に現れました。「販売・購入といった店としての機能」以上に、「本はコミュニティを生み出す」と彼は考え、ブックマンションが生まれました。広島カープの本だけなど、それぞれが自分の好きな本を置いています。1人で本を選ぶより、ずっと多様性があります。棚主同士の交流もあり、そこから「小学校でワークショップをしよう」と新たな計画も立ち上がりました。こんな場所が全国にあれば、新しい本屋の形態が生まれるのではないかと、可能性を感じますね。

 山形県鶴岡市の「ハミングデザイン」というデザイン事務所は、東京で家具のデザインをやっていた宮城妙さんと宮城良太さんいう方が地元に戻って始めました。サクランボ農園を運営しながらの半農、半クリエイティブです。妙さんは地元で店舗のデザインやリーフレットのデザインを手がけ、ワークショップもやり、人が集まります。都市だけでなく、気軽に相談できるデザイン事務所が日本の各地にあったらいいですよね。
 中村周さんは東京で勤めながら週末、宇都宮市のまちづくりに関わる、まさに関係人口です。釜川沿いの古いビルを再生して作家たちが集う場所にしました。コワーキングスペースがあり、さまざまな展示ができる場があります。自分が関わり何かをそこに残していける「関わり代(かかわりしろ)」というべきモノを大切にされています。
 岐阜県各務原市の「かかみがはら暮らし委員会」は、2013年にまちの公園で始めた「マーケット日和」を4万人集めるイベントに成長させました。最初は美容室の経営者ら4人が手弁当で運営を始めましたが、現在はメンバーが数十名にも増え、月に1回みんなが集まる寄り合いをきっかけにして、日本酒が好きだから「酒部」をつくりたいなどと活動が広がっていきます。すてきなまちをつくると移住、定住する人も現れます。

 佐賀市の中山間地域、富士町苣木(ちやのき)地区では、福岡のマウンテンバイク乗りの方が、地域の理解を得て、バイクで走るコースとなる道を整備しました。彼らは地元の方々にあたたかく迎えられ、地域の清掃活動にも協力しています。「ちやのきエンデューロ」というマウンテンバイクの大会が開かれ、地域の良さにあらためて気づく機会となりました。
また徳島県阿波市では、「旅の途中」という福祉交流民宿があります。福祉施設で働いていた女性が空き家を改修して始めたものです。車椅子の方が介助なしに風呂に入れる用具などを備え、ハンディのある方々が楽しめる宿です。これもSDGsの思いに通じますよね。

 最後に、私たちが「地域で未来を見つける」ための視点として三つ挙げます。まず、「こんなことを地域でやりたいな」ということを気軽に話せる「関係案内所」ともいうべきコミュニティがそのまちにあるかどうか。ラーメンやカフェでもいいんです。それから「おしゃれな地域循環」であること。流木で作ったアートを売る人、買う人がいる、こんな地域循環がおしゃれと思ってくれるきっかけをどうつくるかです。そして何よりも感じているのは、「仲間は近くにも遠くにもいる」ということです。近くにいなくても同じ思いの人を増やしていけばいい。これからの社会のありようを、一人ひとりがどう考えていったら良いのかをお話ししました。ありがとうございました。