judinoの作品は、色褪せゆくドライフラワーでありながら生命力を感じさせ、儚さと共に、美しさや力強さでその存在を主張する。作っているのは富阪 基(もとい)さん。
judinoの作品は、色褪せゆくドライフラワーでありながら生命力を感じさせ、儚さと共に、美しさや力強さでその存在を主張する。作っているのは富阪 基(もとい)さん。
決して着色せず生花からドライフラワーにし、植物本来の枯れた色や、枯れる過程で生まれる動きもそのまま作品にしているという。逆さまに吊らずにあえて立てたままでドライにするため、自らの重みによって葉や枝がうねるように曲がっている。その姿が、整然とした姿よりも自然のままの「生」を感じさせる。
アーティスティックで個性的で、確かに植物が「生きている」と実感させるjudinoの作品。富阪さんにとっての作品づくりの楽しさも、まさにこの「生」の部分にある。「植物は、最期の瞬間まで子孫を残そうとして、乾かす過程で姿形が変わっていきます。花がぱかっと開いて中から綿が出てきたり、タネが出てきたり。最後まで生きていることを感じさせてくれる。まさに有終の美ですね」と富阪さん。生花の状態で花を買うお客さんには、そんな花の楽しみ方も伝えるのだという。
最近一番力を入れているというのが、キャンバスの上に配置されたドライフラワー。花で絵を描くことができないか、と考えて作った作品だそうだ。平面のキャンバスから花が立体的に迫ってくるようで、それがキャンバスに落とす影も、作品の一部になっている。作品づくりの間は、ほぼ感覚に頼っているという富阪さん。「メインで使う花を一つだけ決めて、そこからサブをどんどん決めていきます。流したり前に出したり、作っている途中で2手先のアイデアが浮かんでくるんです」。最後に、キャンバスの余白にサインを入れると、全体のバランスが見事に整う。
もともとは白いキャンバスだけを使っていたが、黒いキャンバスの作品も作り始めた。やさしい雰囲気の白とは異なり、シャープな印象を受ける。
「お客様は女性が多いのですが、男性にも花に興味を持ってほしいと思って作りはじめました。黒いキャンバスは、コンクリートの壁によく似合うんですよ」。ギャラリーで個展も開催し、男女かかわらず広く花の魅力を伝えている。
アイアンフレームにドライフラワーを組み合わせた作品も作っている。このアイアンフレームは、店舗装飾で使うメッシュフェンスの余りを切ったものだそう。言わばリサイクル作品だが、それを全く感じさせない洗練された雰囲気がある。他にも、ガラスに挟んだ押し花など、富阪さんの手にかかれば、モノと花の組み合わせが動きのあるアートになる。「色が抜けると花を交換する方も多いと思いますが、色あせた花もきれいです。それも楽しんでいただきたいですね。小さな作品ではありますが、自然を大切に想うきっかけになればうれしいですね」。