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躍動感と生命を感じさせる、ドライフラワーのアート - judino-

judinoの作品は、色褪せゆくドライフラワーでありながら生命力を感じさせ、儚さと共に、美しさや力強さでその存在を主張する。作っているのは富阪 基(もとい)さん。



決して着色せず生花からドライフラワーにし、植物本来の枯れた色や、枯れる過程で生まれる動きもそのまま作品にしているという。逆さまに吊らずにあえて立てたままでドライにするため、自らの重みによって葉や枝がうねるように曲がっている。その姿が、整然とした姿よりも自然のままの「生」を感じさせる。

アーティスティックで個性的で、確かに植物が「生きている」と実感させるjudinoの作品。富阪さんにとっての作品づくりの楽しさも、まさにこの「生」の部分にある。「植物は、最期の瞬間まで子孫を残そうとして、乾かす過程で姿形が変わっていきます。花がぱかっと開いて中から綿が出てきたり、タネが出てきたり。最後まで生きていることを感じさせてくれる。まさに有終の美ですね」と富阪さん。生花の状態で花を買うお客さんには、そんな花の楽しみ方も伝えるのだという。

-Profile- judino 富阪 基(もとい)さん
芸大を卒業し、企業に入社し造園・エクステリアの設計を手がける。退社後、生花店での勤務を経て、イギリスの庭園を学ぶべく渡英。帰国後、店舗装飾を経験したのち2016年にjudinoをオープン。全日本フラワー&ガーデンコンテスト金賞、日比谷ガーデニングショー優秀賞・デザイン賞・一般投票 金賞、全日本フラワーガーデンコンテスト2018 銅賞・審査員特別賞

最近一番力を入れているというのが、キャンバスの上に配置されたドライフラワー。花で絵を描くことができないか、と考えて作った作品だそうだ。平面のキャンバスから花が立体的に迫ってくるようで、それがキャンバスに落とす影も、作品の一部になっている。作品づくりの間は、ほぼ感覚に頼っているという富阪さん。「メインで使う花を一つだけ決めて、そこからサブをどんどん決めていきます。流したり前に出したり、作っている途中で2手先のアイデアが浮かんでくるんです」。最後に、キャンバスの余白にサインを入れると、全体のバランスが見事に整う。

どの植物もせりだしたり、頭を垂れたりと、思い思いの方向に曲がっている。それが生きていることを感じさせる。

もともとは白いキャンバスだけを使っていたが、黒いキャンバスの作品も作り始めた。やさしい雰囲気の白とは異なり、シャープな印象を受ける。

「お客様は女性が多いのですが、男性にも花に興味を持ってほしいと思って作りはじめました。黒いキャンバスは、コンクリートの壁によく似合うんですよ」。ギャラリーで個展も開催し、男女かかわらず広く花の魅力を伝えている。

飛んでいる蝶を思わせるような、軽やかで優美な動きの作品。「キャンバス(sサイズ2,800円)」

アイアンフレームにドライフラワーを組み合わせた作品も作っている。このアイアンフレームは、店舗装飾で使うメッシュフェンスの余りを切ったものだそう。言わばリサイクル作品だが、それを全く感じさせない洗練された雰囲気がある。他にも、ガラスに挟んだ押し花など、富阪さんの手にかかれば、モノと花の組み合わせが動きのあるアートになる。「色が抜けると花を交換する方も多いと思いますが、色あせた花もきれいです。それも楽しんでいただきたいですね。小さな作品ではありますが、自然を大切に想うきっかけになればうれしいですね」。

さまざまな草花を描くように配置。黒のキャンバスはクールで、男性が部屋に飾ってもおしゃれ。
わたが前にせりだしたリース。ここからの変化も楽しみな作品。
赤い大きなつぼみが印象的な「スキミア(540円)」。使っている花も、渋くて変わった種類のものが多い。
ガラスの間に草花をはさんだ「ガラススタンド(2,600円)」。