本物かと見間違うほど美しく繊細な蝶を再現したモチーフや、アンティークビーズをちりばめたアートワークのピアスを作る「KANKAN」。舞台衣装をベースに、様々な技術を融合させた職人技と美的感覚が織りなす世界は、身に着ける人の心をちょっぴり優雅で贅沢な気分にさせてくれる。
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本物かと見間違うほど美しく繊細な蝶を再現したモチーフや、アンティークビーズをちりばめたアートワークのピアスを作る「KANKAN」。舞台衣装をベースに、様々な技術を融合させた職人技と美的感覚が織りなす世界は、身に着ける人の心をちょっぴり優雅で贅沢な気分にさせてくれる。
作るのは沖田麻貴さん。高校から服飾、専門学校では和裁を学び、卒業後は舞台衣装の会社で製作に携わった。会社員だった多忙な時期もデザイン学校に通い、退職・独立した現在も彫金を学んでいるほど探求心旺盛。基礎から学んだ技術と、本物を間近で見て培われたセンスを小さなアクセサリーに凝縮。そっと扱わないと壊れそうな繊細な見た目ながら、普段使いできるしっかりした品質がその証拠だ。
１つでも華やぐ蝶のピアスは、より発色の良い顔料インクを用いて印刷している。作り始めた当初、異なるメーカーのプリンタ３台を購入し比較して、一番色の良いものを選ぶほどのこだわりぶり。薄くても立体感が保てるように裏面に特殊な素材を使い、樹脂の表面は「ツルツルした感じを出したい」と一度磨いてからさらに薬品で処理を行う。ツヤ出しのヒントはなんとプラモデル。専門店に足しげく通い、店員さんに教えを請うた。色だけでなく羽先や薄さといった形状も見事な仕上がり。「和裁で磨かれた感覚でしょうか。角をきれいに取るために、ミリ単位の調整をしますから」。
幅広いファッションになじむワイヤーワークや彫金などのラインナップも充実。細いゴールドワイヤーの先で光るのは琉球ガラスや「反射の感じがいい」というアンティークビーズ、またターコイズなど石も使用。真鍮などを使った彫金は蝶の羽がかたどられ、特技の１つであるオーガンジー刺繍は、フランスのスパンコールを使うなど、まさに舞台衣装にもありそうな豪華な装飾で人気を呼んでいる。
沖田さんの原動力はお客さんとのふれあいだという。「『奥さんにプレゼントしたい』という男性からこれまでにないものをオーダーされたことがあるのですが、やってみたらきれいな色で、人気商品になったものもあります。お客さんがいたから、ここまで進化してこられました。支えてくださってありがとう、と言いたいです。お客さんとコミュニケーションを取りながら、もっとオリジナリティーを出していきたいです」とにっこり。柔らかい印象の奥に秘めた巧みな技術とセンスは、お客さんの笑顔で一層の輝きを増す。
