ボリュームたっぷりの牛肉と2種類の特製ソース、そして輝く卵黄はなんとも食欲をそそられる。本格的なローストビーフ丼を提供するのは、L/R KITCHENの林凜さん。府内の高校に通う現役の高校生だ。なぜ彼女はキッチンカーを始めるに至ったのだろうか。
ボリュームたっぷりの牛肉と2種類の特製ソース、そして輝く卵黄はなんとも食欲をそそられる。本格的なローストビーフ丼を提供するのは、L/R KITCHENの林凜さん。府内の高校に通う現役の高校生だ。なぜ彼女はキッチンカーを始めるに至ったのだろうか。
林さんがキッチンカーで料理の提供を始めたのは2021年の夏、彼女が高校2年生のころだ。それから、学業と両立させながら活動を続けている。一念発起して開業した背景には、コロナ禍の影響があった。林さんが中学から高校へ進学した2020年の春は、最初の緊急事態宣言の発令と重なる時期だった。「卒業式も入学式も中止になって、高校に入学してからもオンラインの授業がしばらく続きました」と語る林さん。友人たちと遊んだり、部活に打ち込んだり、当たり前の日常さえ送れないまま時間だけが過ぎていき、「このまま高校生活が終わってしまうのかな」と不安が募ったという。
そんなとき偶然「キッチンカーの需要がコロナ禍で急増している」とのニュースを見かけた。中学生のころから自作の料理写真をSNSにアップするほど料理好きだった林さんは、「これなら自分でもできないだろうか?」と考えたという。
ただ、思い立ってから順調に事が進んだわけではなかった。「開業資金がどれくらい必要なのか見当もつきませんでした」と当時を振り返る林さん。実際にキッチンカーが営業している場所まで出向いて、出展者に聞き取り調査を行ったという。そのほかにも、活用できる補助金制度を調べて申請するなど、手探りのまま取り組みを続けた。「両親や友人をはじめ、周りの手厚い協力があってようやくオープンできました。自分は本当に恵まれていると実感しました」。
そんな林さんが提供する料理は、もともと料理が趣味というだけあって本格的だ。看板メニューは、鮮やかなピンク色の牛肉がガツンとライスに乗ったローストビーフ丼。味の決め手となっている玉ねぎソースの甘味とヨーグルトソースの酸味が、牛肉の旨味と絶妙にマッチしている。
「メニューを決めてから、何度も試食を繰り返して改良しました。1カ月くらい毎日ローストビーフを食べていた気がします」と、林さんは笑いながら当時を振り返った。そのほかにも、キーマカレーやミルクドリンクなど、季節によって変わるメニューの数々も気になるところだ。
平日は学校の授業を終えてから、週末の出展に向けた仕込みに追われる毎日を過ごしている林さん。最近は、L/R KITCHENのSNSを見て来場する人も増えたそう。「私の活動を見て、『自分も頑張らないと』って感じてくださる方もいます。そうやって、周りを元気にできていることが、とてもうれしいです」と語る。バイタリティあふれる活動は、きっとこの先も人々に元気を与えながら広がっていくだろう。