日常使いができる軽さに、考えられたスタッキング、手になじむ取っ手。気負わずに、けれど確かなこだわりをもって作られた食卓に馴染む器たちは、暮らしの中に小さな楽しみをそっと添えてくれる。
日常使いができる軽さに、考えられたスタッキング、手になじむ取っ手。気負わずに、けれど確かなこだわりをもって作られた食卓に馴染む器たちは、暮らしの中に小さな楽しみをそっと添えてくれる。
美術大学で陶磁器を専攻していたという店主の清水さん。学生時代はオブジェなどのアート作品を中心に制作していたが、暮らしに寄り添うような器に魅力を感じ、自身でも手掛けてみたいと思うようになったそう。しばらくは仕事の合間に器づくりをしていたが、2025年に独立。本格的に作家としての活動をスタートさせた。手がける器は、すっきりとしたフォルムのものが多い。「普段使いを意識して、形はなるべくシンプルにしています。重ねやすく、洗いやすく、気軽に手にとってもらえることを大切にしています」。
日常で使いやすくするために、重さにも気を配っている。ろくろで成形後、ある程度乾燥した段階で土を削ることで、使いやすい軽さになるという。削りすぎるとチープに見えたり、形が崩れてしまったりするため、「器ごとに使いやすい重さを決めて、バランスを大切にしています」。
器の色合いにも、独自の工夫がある。「ピンクの釉薬を近くに置いて焼くと、酸化クロムが揮発して近くに置いている器に色移りします」。制作過程で偶然から生まれた色移りを「おもしろい」と感じ、作風に生かしている。色をつけるのではなく、色移りをさせることで、清水さんにしか生み出せない風合いが実現する。
象嵌(ぞうかん)の技法を使ったひし形シリーズは、凹凸の模様に色を流し込み、丁寧に削って仕上げることで、美しいダイヤ柄が生まれる。「こちらも狙って作ったのではなく、やってみたら良いものができたという感じです」。清水さんにとって制作活動は日々、発見の連続で、経験値を積み重ねながら創意工夫を続けているという。
器の土は、強度のある半磁器土を使用しているという。「耐久性は陶器よりも強いので、少しぶつけたくらいでは欠けません。電子レンジや食洗機にも対応していて使いやすさも魅力です」。使いやすさにこだわる理由は、日常で気負わずに使ってほしいという気持ちがあるからだ。「スーパーで惣菜を買ってきたときに、ちょっと器に盛りつけてみようかなと思えるくらいの存在であってくれたらうれしいです」。普段の生活に何気ない楽しみを与えてくれるような器を、清水さんはこれからもつくり続けていく。