スペインの大学で5年間、日本のアートについて研究したのち8年前に来日し、作家のJunko Matsuoka (ジュンコ マツオカ)さんと出会ったDavid Molinero (ダビズ モリネロ)さん。
スペインの大学で5年間、日本のアートについて研究したのち8年前に来日し、作家のJunko Matsuoka (ジュンコ マツオカ)さんと出会ったDavid Molinero (ダビズ モリネロ)さん。
ジュンコさんが創作した数々のストーリーに惹かれ、その作品の一つである「ガジ、 ぺぺ、 マキナとひみつのしま」を絵本にすることにした。
最初は1,000部を印刷した。ジュンコさんは、突然絵本がたくさん詰まった箱が届いて「こんなにたくさんどうするの」と驚いたというが、Davidさんは前向きだった。「売ってみよう」と、スーツケースに絵本を詰めて、あちこちの手づくり市へ出展した。すると、多くのお客さんから受け入れられ、1,000部の本は全て売り切ることができたという。こうして、最初は絵本作りについて何も知らなかった二人が今、日本の親子を楽しませている。
絵本は全て手描きだ。「本当に自分を幸せにしてくれるものに戻ろう」と、スペインにいた頃に使っていたデジタル機器から、鉛筆と水彩絵の具で描くスタイルへと変えた。一筆一筆描かれた深い色彩と柔らかなラインには、目が惹きつけられる。「フラットな色の絵本も多いけれど、僕はいろんな色をたくさん混ぜるのが好き。例えば、本物の海は青だけじゃなく、いろんな色でできているから」とDavidさん。
絵本にはいつも、二つの意味を持たせているという。「一つは子どもが読んで楽しでほしいという意味、二つ目は大人が読んで考えるキッカケになってほしい、という意味です」。例えばある絵本は、子どもには楽しい冒険のお話で、大人には自然を守ることの大切さがメッセージとして込められている。子どもに読み聞かせながら、大人も一緒に楽しみ、考える絵本だ。
イベントでは、絵本を購入するお客さんと会話をしながら、余白の1ページにその場でサインと絵を描いてくれる。1冊1冊を丁寧に手渡すことに、Davidさんの感謝の気持ちが込められている。
「たくさんの場所でいろんな方々に絵本を手に取ってもらい、直接心温まる感想や言葉をもらいました。世界一素晴らしい絵本を作りたい、と心に誓っています」。