KEN HANDMADE WATCHは、世界で一つだけのオリジナル時計を制作している。本体も文字盤もベルトも手作り。真鍮やシルバーなど、もとはただの金属の塊を切り出してバーナーで溶接し、ハンマーで叩いて、一つひとつ作り上げていく。
KEN HANDMADE WATCHは、世界で一つだけのオリジナル時計を制作している。本体も文字盤もベルトも手作り。真鍮やシルバーなど、もとはただの金属の塊を切り出してバーナーで溶接し、ハンマーで叩いて、一つひとつ作り上げていく。
本体の素材には、真鍮を使っているものがほとんど。経年変化で表面が酸化すると深い色味に変化していくが、エッジなど擦れる部分は自然と磨かれて美しく光る。
この、アンティークのような豊かな味わいも、KEN HANDMADE WATCHの魅力の一つだ。数字は真鍮の線を曲げて一つひとつ形を作り、ベルトは一枚の牛革をカットして制作する。こうして生まれた時計は、唯一無二の一点モノ。電池やベルトを交換し10年、20年と使い続け、本物のアンティークになっていく。
前職は建築関係の仕事をしていたという作家のKENさん。ある日、テレビで何気なく見た手作り時計に衝撃を受け、自分でも作りたくなったのだという。「完全に手作りで時計を制作しているお店はあまりないので、教えてくれる人がいないのが難しいところ。正解が分からないから、自分で開拓していくしかないんです」。しかし、正解がないからこそ、その世界は無限に広がる。本体や文字盤、文字の形や色は全てオリジナル。ビジネスに使える硬い雰囲気の時計から、遊び心たっぷりの時計まで、斬新なアイデアで次々に新しい時計を生み出している。個性的なデザインは、街なかにあるタイヤや看板など、「丸いもの」を見るとふと思い浮かぶことがあるそう。
一方で、「他の時計を見るとどうしても似てきてしまう」と、他のクリエイターの作品は見ないように徹底。時計に関する情報は一切遮断しているという。「時計には自分のカラーを出すことができます。僕には、建築という大きな世界より、時計のような小さな世界が合っているみたいです」。
KEN HANDMADE WATCHの時計を作っているのは、作家だけではない。オーダーメイドなら、それを使う人もまた時計の製作者の一人だ。誕生日の数字だけ色を変えたり、子どもに初めて買った服の一部を文字盤に使ったり、使う人の個性や思いに応じて、どんな工夫もできる。12月11日の結婚記念日に12と11だけ数字を入れた時計を制作し、1年ごとに数字を加えていき、10年目に文字盤が全て完成したというお客さんもいるそう。
ただモノとしての時計を売るのではなく、「気持ち」や「思い出」を時計という小さな世界に詰め込む。時とともに人の歴史を刻む時計は、その人にとって一生ものの宝物になる。「今はデジタルの時代。時間もスマートフォンで見る人が多いですが、あえてこの時代にアナログの時計を身につけて、『時』を楽しんでほしい。10年、20年と大切に使ってくれたらうれしいです」。