何通りもの色と形が展開されていて、立体的で動きのある「chico」のアクセサリー。刺繍糸やレース糸、ミシン糸といった糸の組み合わせから生まれている。
何通りもの色と形が展開されていて、立体的で動きのある「chico」のアクセサリー。刺繍糸やレース糸、ミシン糸といった糸の組み合わせから生まれている。
作家は、小さい頃から手芸が好きだったというめぐろまちこさん。「母は手芸が得意で、家にかぎ針があったんです。それで私も自然とかぎ針を使って毛糸でものづくりをするようになりました」。
最初は毛糸で帽子やマフラー、といった一般的なものを編んでいためぐろさん。次第に自分が身につけるためのアクセサリーが作りたくなり、少しずつ作品づくりが広がっていったという。
ひと針ずつ丁寧に編みこまれたアクセサリーは、糸の風合いがやさしく、顔まわりをやわらかく見せてくれる。「軽いのでつけ心地がいいですよ。洋服と同じような感覚で身につけられると思います」とめぐろさん。
作りたい作品のイメージが浮かんだら、まずは作ってみて、形になったらレシピに書いて、それからアレンジする。細かな作業で大変そうだが、パソコンを使う作業が苦手で、手で編んでいる方が性に合っているという。
とはいえ、編み物は時間がかかる作業であり、一つの作品を完成させるのに作品によっては4日以上かかることもある。
「作りたい作品はたくさんあるのですが、時間がかかるのでなかなか進まなくてもどかしいときもあります。色合わせも難しく、頭の中でイメージして作ってみても、実際に編んでみると『違うな』と思うこともあります」。時には作品に満足できず、全部ほどくこともあるそう。それでも、完成したときの達成感が大きくて、毎日集中力が続く限り編み続けているという。
作品には、木の実のような丸い粒や葉っぱなど、自然をモチーフにしたアクセサリーが多い。「粒は、中に小さいビーズを入れて編みくるめています。子どもの頃に毛糸を編んで遊んでいた時からのやり方なんです」とめぐろさん。長い経験が活きているようだ。細い糸で編み上げているためパーツは小さいが、どれも立体的に表現されており、一つの作品としてできあがるとたちまち存在感を放つ。より大ぶりに見せたいときは、レースがついたキャッチで後ろからボリュームアップ。多彩な色の糸を組み合わせているので、髪をおろして耳元が隠れていても、ちらっと見えるだけで鮮やかに彩ってくれる。
最近では、ウェディングドレスに合わせたいというお客さんも増えている。大ぶりのヘアアクセサリーなど、希望に合わせてオーダーメイドすることもあるそう。こうしたお客さんとのやりとりも、作品づくりの楽しみのひとつ。「色がきれいなので、気持ちが上がると言ってくれる方もいらっしゃいます。気合を入れたいときにつけてくれているそうです。自分が作ったものが、つけてくれる人の力になっているとすれば、すごくうれしいことですね」とめぐろさん。小さな作品の豊かな彩りが、身につける人に元気を与えている。