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雪のように淡くてやさしい 料理で描かれるキャンバスのような器
-雪窯-

「雪窯」の店頭には、その名前のもつ雰囲気がそのまま表現されているような、白くやわらかい色の陶器が並んでいる。雪のような白に淡いブルーやピンクやイエローが合わさって、どれもとてもやさしい風合い。



「主役は器ではなく、あくまで料理。淡い色の方が料理が映えると思って作っています」と話すのは、作家の高見さん。2015年から陶芸を始めたという。「料理が好きなので、料理が映える器を集め出しました。スウェーデンのベルント・フリーベリの陶器が好きなのですが、なかなか手が届かなくて。それなら自分でお気に入りの陶器を作ろう、と考えたのがきっかけです」。部分的に好きな作家からインスピレーションを受けながら、自らがいいと思える作品づくりを続けてきた。

-Profile- 雪窯 高見佑樹さん
料理好きが高じて、料理が映える器を作り出したのをきっかけに、陶芸を始めた。現在は兵庫県の明石市で窯を設け、製作している。「次は渋い色にも挑戦したいですね」と、新しいことをどんどん取り入れている。

一番のこだわりは、繊細なフォルム。「ろくろで形成した後に、削りで丸みを出しています。形成より、削りに時間がかかりますね」と高見さん。例えば、茶碗。碗の部分はやさしく丸いラインで、底の部分にある丸い「高台(こうだい)」は高く小さくしているため、そのフォルムはスマートで美しい。ただ、高台は小さく絞るほど置いた時のバランスが悪くなるため、そのぶん厚みをもたせなければいけないのだという。「厚くすると、今度は焼いたときに割れてしまうんです。それで、中を極限まで深く削っています」と高見さん。削りは手作業のため、どこまで削るか、音で確認しながら慎重に作業する。そこまでこだわってもなお、美しいフォルムに妥協はしない。

淡い色が美しい器の数々。どれも丸みのあるフォルムで、食卓をやさしく彩る。

やさしい色は、自ら釉薬を調合して作っている。「無数にある原料からよりすぐり、無限にある組み合わせで配合し、100回、200回と試すんです。自分が納得できるまでテストピースを焼いて、きれいな色を探しています」。気の遠くなりそうな作業だ。ごく微量でも、原料の配合が変わると、思い通りの色にならない。薄いブルーの器などは、配合されているコバルトはたったの0.3%だという。

中には、白い釉薬の上からスプレーで別の釉薬をかけて焼き上げた器も。熱を入れると釉薬が液体化して器の表面を流れ、そのまま焼きあがる。「その動きが面白いですね。狙い通りにはいきませんが、そこに新しい景色を見ることができます」。

丸みと高台のバランスが美しいお茶碗。家族で色違いを使っても楽しそう。

また、さまざまな技法を取り入れているのも雪窯の特徴だ。たとえば、カップの取っ手部分は、なるべく同じ形にするために、石膏で型を作って粘土を流し込み成形する「圧力鋳込み」を取り入れている。通常は大掛かりな機械で行う成形方法だが、簡易に実現できる方法を独自に編み出したというから、その熱意がすごい。「手作りでも精度は必要ですから、いろんな技法を取り入れながら、できるだけ安定した作品作りができるようにしています」と高見さん。

テストで余った釉薬は、陶器のアクセサリーに。釉薬も土も無駄にせず使い切る。

それでも、ベースは全てが手作り。だから、形にしろ色にしろ、どれ一つとして同じ作品はない。「お気に入りをひとつ選んで、それを長く大切に使ってくれたらうれしいですね。ベースが白なので、ぜひ器をキャンバスに見立てて、料理で絵を描いて楽しんでください」。

指さえ入らないほど口の小さい一輪挿し。白から青、紫、ピンクへと変わっていくグラデーションが美しい。
ハリネズミのような豆皿。アクセサリー入れやスプーン置きなど、フレキシブルに使える。
兵庫県明石市にある窯。ここで雪のような白く淡い風合いの陶器が生まれる。
お子さんが器を割らないようにと、あえて重く作った器も。裏側は釉薬をかけずざらっとした質感なので、テーブルの上でもずれにくい。