帆布を細長く切って編み込み、北欧にある模様を再現したデザインのバッグや雑貨を作る「CRAFT(クラフト)」。独創性を追求したクリエイターの和田年員さんが、デザインから制作まで全て一人で仕上げている。
帆布を細長く切って編み込み、北欧にある模様を再現したデザインのバッグや雑貨を作る「CRAFT(クラフト)」。独創性を追求したクリエイターの和田年員さんが、デザインから制作まで全て一人で仕上げている。
芸大卒業後に就職した雑貨メーカーで、長年にわたってデザインや企画などに携わってきた和田さんは、次第に「オリジナルで作りたい」という思いを強くした。仕事の傍らカバン職人に師事し技術を習得。退職して自らのブランドをスタートさせた。
「手間がかかるものこそ価値を生み出す」と考え、閃いたのが布を編み込むこと。以前から好きだった、織物や北欧デザインの要素を取り入れることに。従来、編み込みができる生地の素材としては、切りっぱなしのまま加工できる革が主流だ。布で作ろうとすると、編む前に切った後からほどけないように全て処理が必要となる。「手間を考えると誰もやりたがらないでしょうね」というところにあえて挑んだ。
編む知識については、ほぼゼロからのスタート。織物の資料を参考にしつつ、実際に手を動かしてノウハウを身につけた。デザインは主に北欧のヴィンテージインテリアからインスピレーションを受けているとか。はっと目を引く配色やデザインにその影響がうかがえる。
「デザインを描いたら、布で作る前に色紙を切って編んでみます。やってみると難しくて、想像していたのと違うものができたりもします。同じ太さの布を編むなら簡単ですが、違う太さを組み合わせるとすごく複雑になるんですよ」。太さ以外にもピッチ、編み込みの順番を入れ替えたり、布と革など素材を組み合わせることによってガラリと印象を変える。例えば、ストライブ柄のデニムを使ったものは、柄の方向がずれないように編み込むことで、美しい幾何学模様を浮かび上がらせる。
確かな技術と上品なデザイン、人と違う一点モノとあって、男女問わず人気を呼び、京都で販売した際は多くの外国人観光客が足を止めたとか。「今後は木との組み合わせをずっと考えています。大きい木のトランクの表面に編み込んだ布を貼り付けてみたいですね」。これからも和田さんは、素材と文化を編み込んだオンリーワンのバッグを届け続ける。