着物をメインに古着とミックスさせて新たなアイテムに仕立てるショップ「Acote」。着物の上品さと古着が持つカジュアルさをテーマに、特に若い世代から熱い注目を集めている。
着物をメインに古着とミックスさせて新たなアイテムに仕立てるショップ「Acote」。着物の上品さと古着が持つカジュアルさをテーマに、特に若い世代から熱い注目を集めている。
「人の思いがこもった古着を再生させたい」。ショップの代表を務める川崎さんの気持ちがきっかけとなり、着物と古着のミックスリメイクを行うショップ「Acote」が生まれた。
「もともと古着をリユースするアパレル会社に勤務していたのですが、買取ができない着物の多くが捨てられてしまう現状を数多く目の当たりにしました。それではいけない、という強い思いが最初の出発点ですね」。
川﨑さんは処分される着物の再生方法を模索するため、一念発起しアパレル会社を退職。夢に向かって歩みを進めることにした。
悪戦苦闘する中で辿り着いたのは、「たとえ大部分を廃棄することになって、一部しか使えないとしても、小物アイテムとして再利用する」というアイデアだった。
「洋服の場合であれば胸ポケットなどのワンポイント。または、ターバンや髪留めといった小物アイテムに再生させる方法を思い付きました。そうした自由な発想からこのショップが誕生しました」と川﨑さん。
「日本だけでなく海外の人にも身に付けてほしい」という考えをきっかけに、着物など“和”のテイストをテーマにした「ミックスリメイク」という手法も生まれた。
「せっかく再生させても、実用性がなければ意味がない」と生地状態の検証に一番こだわっている。
「着物は破れやすく扱いにくいものが多い。雨に濡れても大丈夫か、長期間、身につけても破損しないか。色々な観点から何度もチェックを行い、中心素材を選別していきます」と川崎さん。
絶え間ない努力の甲斐もあり、着物リメイクとしては珍しく、アイテムの多くが通常の洗濯(お洒落着洗濯推奨)にも対応できるという。
大きな特徴は、和柄のデザインを主体としているアイテムが多いにも関わらず、若い世代から好評を得ている点だ。
「古着の仕入れは主に海外です。海外テイストのカジュアルさと、着物が持つ上品さをどうマッチさせるかを大切にして制作しています。“上品だけどカジュアル”という雰囲気が若い世代にも受け入れられているように感じますね」と川﨑さんは言う。
今後の目標について次のように語ってくれた。
「大阪万博が開催される2025年までには、大阪で実店舗を構えたいですね。海外の方々にご来店いただき、アイテムを手にとってどのようなリアクションをしてくれるのか。それがまた刺激になって、より良いアイテムを生み出す力になると思っています」。