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ロハスフェスタの出展クリエーターに聞く

手のぬくもりを土に込めて、
食卓を彩るやさしい器に -リスの木食器工房-

「リスの木食器工房」の作品は全て、土を型に手で押し付けて作る「タタラ作り」で成型されている。



一つひとつに手作りならではの微妙なゆがみやいびつさが生まれ、手のぬくもりが感じられる。釉薬は、木の灰を溶かして作られた土灰釉(どばいゆう)を使用。自然から生まれた色なので、作品がやわらかい風合いに仕上がっている。

作家の前川さんは以前、陶磁器メーカーでデザイナーとして働いていた。機械による大量生産の現場を経験したからこそ、今、自らの手で作り売ることの良さを痛感している。

「デザインだけをしていた頃はお客様との接点がなかったので、売れたかどうかは後にならないとわかりませんでした。でも、自分で作ったものを対面で売ると反応がよく伝わって、どんどん改良していくことができるんです」。

-Profile- リスの木食器工房 前川隆之さん
静岡県出身。メーカーで陶磁器デザイナーとして勤務したのち、2003年に独立。現在は多治見市に工房を構え、陶器のデザインから製作、販売までを手がける。作品は、工房併設の店舗のほか、全国各地のイベントや展示会で販売。「生活に必要な道具を作り、壊れたら土に還る。土を焼いて生計を立てる陶芸自体が、自然だと思っています」と前川さん。

普段料理をしない前川さんにとって、お客さんの反応は作品づくりに欠かせない。「お客様にアイデアをいただいて、お客様と一緒に作っていく、という気持ちでいます」。

自分が作りたいものを制約なく作ることができる環境にも喜びを感じている前川さん。十草柄や碁盤柄、削ぎ目やタタキ粉引きなど、さまざまなデザインや技法を凝らして作っているので、選ぶ人も楽しくなる。「効率が求められる大量生産ではなかなかできないこと。違う柄で5枚揃える、というように、同じ形でもいろんな柄を楽しんでほしいです」。

織部焼で特徴的な深い緑が食卓を彩る豆皿「緑彩」(800円)。和菓子や漬物など、使い方はさまざま。
スポンジのような素材で叩いて白化粧をする「タタキ粉引き」を施した器。ザラザラとした荒い質感が魅力。
ミニ植木鉢(1,000円〜)。器が主張しすぎることなく、植物をやさしく受け入れる。
お客さんの反応がダイレクトに伝わり、作品づくりのヒントになる。お客さんの声を聞いて試作し、評判がよければ定番にすることも。
模様の一つひとつが手描き。同じ形でも、柄や色が異なる器が並んでいるので、選ぶ楽しさがある。
フォークとスプーンの形をした箸置き(200円)。ナチュラルで素朴な質感とかわいらしいフォルムで食卓が安らぐ。