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信楽の技法を下地に、洋のデザインを合わせたカジュアルな器-堂本陶工房

信楽特有の土の質感に洗練された洋風のデザインを組み合わせた「堂本陶工房」が生み出す器。高級感とカジュアルさが同居するこの作品は、使う人のシチュエーションによって変幻自在に表情を変える魅力が注目を集めている。



堂本さんが陶芸の道に進んだのは、今から30年ほど前。「粉引(こひき)」と呼ばれる技法を用いた陶芸で、日本有数の陶芸家として知られる人物が主宰する製陶所に入社したことにはじまる。

ゼロから陶芸について学ぶ中で、堂本さんは新たな作品づくりへの意欲を胸に抱くようになっていったという。「普段使いの和食器を数多く制作していたのですが、もっと別の形状や色を試してみたい。その思いを捨てきれなかったので入社から13年が経った頃に独立を果たしました」と堂本さん。

信楽にて工房を構え、これまでに学んできた陶芸の知識を持ち寄り、新たな可能性への挑戦がスタートした。

-Profile- 堂本陶工房 堂本 正樹さん
「粉引の大将」と呼ばれた名人のもとで陶芸の道へ。作品の命である発色を良くするため、細かい調整が可能な電気で稼働する窯にて作品づくりを行う。今後も、お客様のニーズが変化に合わせ、信楽の伝統をベースにした新たな作品を生み出し続けたいという。

作品づくりにおいて、堂本さんが見直したのは色使いについて。もともと、「粉引」と呼ばれる技法は、独特の風合いを残すために明るい色を載せるのが難しいとされてきた。「逆に言うと、この風合いを活かしながら多様な色を出すことができれば面白い作品になるかもしれない。その思いから試行錯誤を重ねる日々が続きました」。

その中で、ポイントになったのが乾燥作業。色ごとに乾燥時間や乾燥させる方法を変えていくことで風合いを残しながら多様な色付けができるようになったのだ。長年、名人と呼ばれた製陶所で学んだ経験が実を結び、独自の作品の特徴が生まれた。

「粉引」では珍しい色鮮やかな器。これが作品の最大の特徴だ。

もう一つの特徴として挙げられるのが、そのデザイン性。「粉引」で作られる一般の器とは違い、堂本さんが手掛ける作品の形状は実に独創的。「アンティークが好きだったので、それをアイデアの核としてデザインに取り入れてみました。下地の土感や和のイメージと上手く溶け合うことを大切にしています」。

同時に、普段使いの食器という機能性も高めようと、サイズや重さにも配慮しているという。その特徴を持った堂本さんの器は、「洋食でも和食でも、どちらにも合う食器」と好評を博し、多くの人に知られることとなった。

土の風合いを残すためには、乾かす作業が重要だという。日差しの入り方や湿度の状態などを細かくチェックし均等に乾燥させていく。

今や百貨店や全国に点在する雑貨屋から直接、取引を相談されるまでに知名度をあげている。

こうした活況を迎えつつある状況に対し、堂本さんは言う。「普段使いの器を扱っている以上、流行をしっかりと見通した作品を手掛けたいと思っています。例えば、数年前からキャンプが話題となっているので、焚き火でも使える耐熱性を備えた土鍋などを作っても面白いかなと考えています」と、これからも新境地を切り拓くために挑戦を続けていく。

堂本さんの技と知見が凝縮された代表的な作品「黒釉洋八丸皿」。この作品の成功により、次々と新たな器が生まれた。