食べたあとにパッと笑顔が広がり、また食べたいと思うような記憶に残るお菓子。特別な調理方法や素材を使うのではなく、丁寧に、手づくりにこだわること。その素朴な味わいが、地元守口市から全国各地にファンを作り続ける「お菓子工房エシェル」。他にはない“やさしい記憶に残る味”を求め続ける、店主の濵野美佐子さんに話を聞いた。
食べたあとにパッと笑顔が広がり、また食べたいと思うような記憶に残るお菓子。特別な調理方法や素材を使うのではなく、丁寧に、手づくりにこだわること。その素朴な味わいが、地元守口市から全国各地にファンを作り続ける「お菓子工房エシェル」。他にはない“やさしい記憶に残る味”を求め続ける、店主の濵野美佐子さんに話を聞いた。
幼い頃から「ケーキ屋さんを開くことが夢だった」という濵野さん。さまざまな仕事を経験する中で、思わぬところで料理との接点が生まれたと話す。「昔、パティシエをしていた経験を活かし、レシピサイトにロールケーキのレシピを投稿したところ大反響を得ました。テレビの取材なども来てくださるようになったので、念願だったお菓子屋さんを開こうと思ったんです」。
そして、濵野さんは手始めに自宅でお菓子教室をスタート。すぐに、「おいしいお菓子が作れる教室」として評判に。そして、生徒からお店を開くように何度も懇願され、2018年から「お菓子工房エシェル」として営業をスタートさせた。
飾らない魅力の素朴なお菓子やジャムなどが並ぶ店内。今流行りの“映える見た目のスイーツ”や特別な味わいを売りにするのではなく、”普段着”のような味を追求している。その思いをカタチにするため、関西を中心にカフェをめぐりながら理想の味わいを探求していった。
「やさしい味なのに、記憶にしっかりと残る。高級より上品さがある。そうした魅力を求めていくなかで、北海道産の小麦を中心に、可能な限り国産素材を使用することに決めました。あとは、とにかく心を込めて丁寧に作ることを徹底しようと」。この思いから生まれたお菓子は、毎日食べても飽きない日常の中に溶け込むような味わいに仕上がった。「主食とまでは言いませんが(笑)、それぐらいになれたら良いなと思っています」。
焼き菓子に次いで、ファンから高い人気を得ているのが、手作りのジャム。こちらも、濵野さんが日常的に食べられるものを探すなかで辿り着いた商品だと話す。「日本全国を旅するのが趣味で、旅先では必ず地元ならではの果物を購入して帰ります。同じ果物でも品種によって水分の飛ばし方や砂糖の量などが異なるので、その調整を慎重にしながらジャムを作っていきます」。
それほどの手間暇を掛けて作られたジャムの種類は現在50種類以上。季節感を大切にしているため、その時期しか味わえない種類も多い。
1点ずつ丁寧に作るため、実店舗の営業は週に3日間ほど。販売日から逆算し、仕込みや調理を行うため、数量限定で販売されることがほとんど。徐々に全国各地へと口コミが広がり、今ではイベント出店やショッピングモールでの販売などの依頼が相次いでいる。そんな反響を受けて、濵野さんは新たな展開として、よりお客様との距離が近付くようなサービスを展開したいと話す。
「その方の好みやシーンに合わせて商品をセレクトする。そこで、新たなコミュニケーションや関係性が生まれ、また新しいお菓子や商品が誕生していくと思うんです。いつかそんなサービスができれば何より。お客様を知ることが、おいしさを追求することに繋がります」。濵野さんはこれからも、お客様の暮らしの中にあるお菓子を作っていく。