鉄の素材感を基調に、独創的なデザインを全面に押し出した硬質でシックな印象を与える、インテリアブランド「MARU-INHERIT」のアイテム。運営やデザインを手掛けるのは、日野隼輔さん。弱冠22歳の若き才能は、鉄が持つ「硬い」イメージを新たな価値に置き換え、次々と新たなアイテムを生み出している。
鉄の素材感を基調に、独創的なデザインを全面に押し出した硬質でシックな印象を与える、インテリアブランド「MARU-INHERIT」のアイテム。運営やデザインを手掛けるのは、日野隼輔さん。弱冠22歳の若き才能は、鉄が持つ「硬い」イメージを新たな価値に置き換え、次々と新たなアイテムを生み出している。
鉄をテーマにしたブランドを手掛けるようになったのは、鉄工所を営む父親のアドバイスがきっかけだったと話す。現在も芸術大学に通う日野さんは、空間デザインを学ぶ一方で、ブランドアイテムの開発にも興味をもっていた。父親から「鉄を題材にしてはどうか?」というアドバイスを受けてから、「インテリア雑貨や家具の中には、鉄を素材としているものが少ないと思いました。加工の難しさが理由だと思うのですが、それを乗り越えて、アート性をプラスすれば独自の価値が生まれるはずだと」。
その思いをもってインテリアブランド「MARU-INHERIT」のデザインに参画することになった。
デザインを専攻する日野さんは、次々と独創的なアイデアを発案するが、当初、懸念していた加工の難しさに直面してしまう。これまでにないデザインを形にしようとしても、思い描いた通りに鉄を加工できず、断念するケースが頻発した。
「鉄を素材にすることを一時はあきらめようと考えましたが、ある時から発想を変えました。まずは、加工できる範囲を熟知しようと。その上で、デザインするように心掛けました」。
そこで、現場のスタッフとコミュニケーションを重ね、これまで以上に加工技術を学び、デザインの発想を膨らませるようになった。「加工できる範囲を知ったことで、より現実的なアイデアが生まれ、発想がまとまりやすくなりました。より先鋭的なデザインを形にできるようになったのは、そうしたベースとなる考えが強化されたからでしょうね」。
こうした試行錯誤の末に生まれたアイテムは、鉄が持つ硬質な印象やデザイン性に、全く別の要素を調和させることがひとつの特徴となっている。「例えば、植物プランターがそうです。硬い印象がある鉄に、あえて植物を合わせてみました。すると、良い化学反応を起こして、ナチュラルな空間にも合うアイテムになりました。また、足を組み替えられるダイニングテーブルを手掛けたこともあります。和でも洋でも、どちらの空間にも合わせられるように足のデザインを仕上げました」。
このような工夫を凝らしたことで、一見コーディネートしにくいと思われていた鉄素材の課題を解消。より多くの人が暮らしの空間に取り入れたくなるアイテムとなった。
数々の困難を乗り越えながら独自性を極めてきた「MARU-INHERIT」のアイテム。日野さんはその価値をさらに多くの人に届けたいとの思いから、実店舗での販売を模索している。
「一番はブランドのショップを持つこと。そして、他の雑貨や家具ショップでの取り扱いをはじめ、カフェ&ギャラリーでの展示などを展開していくつもりです。実際、鉄が持つ素材感に触れると、アイテムの面白さを実感していただけるはずです。その日のために、創作に励み続けたいですね」。若い発想力と行動力を駆使し、今後も新たな作品を生み出し続けていく。