身に付ける人の個性や思いによって、それぞれのストーリーが展開していく色とりどりのかわいいリボン。リボン作家の武原裕美さんは、リボンを一つずつハンドメイドで作り上げ、見た目のかわいさを越えた価値をそこに注ぎ込んでいく。ストーリーがあるリボンが誕生した経緯やその思いを聞いた。
身に付ける人の個性や思いによって、それぞれのストーリーが展開していく色とりどりのかわいいリボン。リボン作家の武原裕美さんは、リボンを一つずつハンドメイドで作り上げ、見た目のかわいさを越えた価値をそこに注ぎ込んでいく。ストーリーがあるリボンが誕生した経緯やその思いを聞いた。
もともと好きだったという、うさぎをモチーフにしたリボンは、針と糸、ときには刺繍を施し、ふんわりとしたデザインに仕上げていく。「リボンの中心が顔になるのですが、そこがいちばん苦労しますね。ほどよい力加減で結ばないとやわらかい印象が出ないし、弱いと力を加えるだけでほどけてしまう。その調整が大切ですね」と笑う、武原さん。
試行錯誤を続けるなかで、生地の厚みや硬さなどを手触りだけで確認し、絶妙な形状に仕上げられるまでになったという。その工夫から生まれたリボンは、カジュアルでもフォーマルでも身につけられる幅広いデザイン性が評判を呼び、多くのファンを魅了している。
これまで手芸の経験がなかった武原さんが、リボンを手掛けるようになったのは5年ほど前。自身の子どもがワークショップでリボン作りに参加したことで興味を持ち、見様見真似で始めたのがきっかけだった。最初は、一般的なリボンから手掛け、徐々に一つひとつの作品にストーリーを込めるようになった。
「見栄えを越えた価値を込めたいと。手にとった人や身につけた人にだけ感じられる、親近感や愛着はどうやったら生まれるんだろうと考えているときに、物語を作るようになったんです」。それぞれリボンによってテーマとストーリーがあり、それを表現するデザインに整えていく。それが、「いろいと」独自の魅力となっていった。
お出かけする気持ちが楽しくなる「お姫のリボン」。夢にむかってまっすぐな気持ちで走り出したくなる「ゆめリボン」。艶やかな着物のときに付けたい「金魚」など、作品によってさまざまなストーリーがある。
これらのストーリーは武原さんのインスピレーションから生まれるが、「お客様との会話からも物語が。『こんな物語だったら、あの方を元気付けられるんじゃないか』っていう感じですかね」。
未経験からスタートした創作活動も徐々に人気が広がりはじめ、関西を中心としたショップでの販売も増えていく。今後の展開について、「雑貨店ばかりではなく、ちょっと違う空間でリボンを扱いたいと思っているんです。いくつかある夢の一つとして、うさぎ専門店でできたら面白いなと思っています。かわいいうさぎに囲まれながら好きなリボンを選んだりお話をしたりするのが楽しいと思うんです。大きな夢ですが、いつか叶えられるようにがんばっていきたいですね」。
いろいろな場所で、いろいろなストーリーが立ち上がるように、武原さんは今日もリボンを作り続けていく。