土の中でゆっくりと退色した味わい深い「沈木(ちんぼく)」に、エアプランツがあしらわれたユニークなインテリア。制作しているのはHaruFamilyの宮本さんだ。海岸に流れ着いた流木を使っているのかと思いきや、材料選びには並々ならぬこだわりを持っているそう。
土の中でゆっくりと退色した味わい深い「沈木(ちんぼく)」に、エアプランツがあしらわれたユニークなインテリア。制作しているのはHaruFamilyの宮本さんだ。海岸に流れ着いた流木を使っているのかと思いきや、材料選びには並々ならぬこだわりを持っているそう。
宮本さんが作品に使う「沈木」とは、朽ち果てた枯れ木の土の中に残った部分を掘り起こしたもの。水に入れると沈むほど重く、朽ちた見た目から思わせるイメージよりもずっと硬い。土の中でゆっくり退色した外観は、海岸に流れ着いた流木とは違った風合いだ。宮本さんはそんな沈木にエアプランツをあしらったインテリアを制作している。
厳かなヴィンテージ感を思わせる沈木は、日本では手に入らないという。宮本さんはベトナム、ラオス、中国南部、オーストラリアなど、独自のルートで各地から取り寄せている。「日本の海岸や干上がったダムで取れる流木では、これだけ美しい形や色のものはありません。コロナ前は現地にも買い付けに行っていました」と宮本さんはこだわりを語る。
木を使った作品だと、どんな種類の木を使うのかをこだわる人も多い。しかし、この沈木は元の木が完全に朽ちてしまっているため、現地の人もどんな種類の木なのか知らないそう。地中で歴史を刻みながら自然に生まれる神秘的な造形美も、作品の魅力の一つだ。
そんな沈木にあしらうのがエアプランツだ。エアプランツは根がない植物で、岩や木にからみついて育つ。成長のスピードもゆるやかで、自然に木へ圧着させようとしても容易ではないという。実際、宮本さんはグルーガンで接着をしているが、その接着剤にもこだわりが伺える。一般的な接着剤を使うと、熱せられた接着剤がエアプランツを傷めてしまい、枯れる原因にもなる。そこで宮本さんは水草などにも使える、動植物への害が少なく環境にも優しい接着剤をわざわざ海外から取り寄せているそう。
「本棚や机はもちろん、玄関や台所など、花瓶と同じような感覚で、暮らしを彩るインテリアとして飾ってほしい」と語る宮本さんは、アクアリウムと呼ばれる水生生物のレイアウトも手掛けている。水槽の中でデザインしていた沈木と水草の組み合わせを、陸の上でもやってみようと始めたのが今回の作品だ。今後は、もともと取り組んでいた「沈木+水草」の作品も展開していきたいと意気込みを語ってくれた。