机やチェストなど、無垢材にこだわった家具を製作するmuniwoodの堂下さん。家具の端材を活用して、一輪挿しなどのインテリアも制作している。家具職人ならではの造形へのこだわりは、意外にも「影」の表現にあるのだという。
机やチェストなど、無垢材にこだわった家具を製作するmuniwoodの堂下さん。家具の端材を活用して、一輪挿しなどのインテリアも制作している。家具職人ならではの造形へのこだわりは、意外にも「影」の表現にあるのだという。
堂下さんが普段手掛けているのはテーブルやイスといった家具が中心。「高価なものが多く、買う機会もそうそうないですよね。そこで、無垢材の良さをもっと気軽に感じてもらえるものはないかと考えるようになりました」。そんな発想から生まれたのが、ユニークな形状の一輪挿しだ。
家具を制作する過程で多くの端材が出る。「短くなった材料は、端材として扱われてしまいます。アイデア次第でまだまだ使えるのにもったいないなと思っていました」。そんな端材をさらに小さく切って、サンドペーパーで丁寧に磨く。そうした工程を経て出来上がるのが一輪挿しだ。
こだわったのは、並べたときのサイズ感。ユニークな形は「家と街並み」をイメージしている。「太陽の光を受けて、家の影ができる姿がすごく可愛いんです。そこも含めてインテリアとして楽しんでもらえたら」と語る堂下さん。制作中は、切っては並べを繰り返し、一番美しく映える屋根の傾斜に苦心したそう。サイズが異なる一輪挿しが並んで、それぞれの影が伸びる様子は、どこかノスタルジックな温かみを感じさせる。
「小さいころから工作の授業が大好きで、なぜか当時から『ものづくり=木工』のイメージが強かった」と振り返る。大学で家具づくりを学び、そのまま職人の道を歩み始めた。
木の家具に深い愛情を持つのはもちろん、実は花を飾るのも好きなのだとか。そんな彼女の思いを表した一輪挿しは、玄関や、テレビボードに飾ったり、日常のさまざまなシーンによく馴染む。「花がとても好きで飾りたいけど、お世話が大変だからと敬遠している人も多いと思います。そんな人たちも一輪挿しなら手軽に楽しんでもらえるかなと思います」。
ロハスフェスタなどのイベントでは、購入した人に一輪の花をサービスしている。「花を添えることで、木だけを使った製品にはない華やかさが生まれて、いろんな人が足を止めて見てくれました」と語る堂下さん。手応えを感じながら、今後も制作を続けていく。