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木の息づかいを感じながら、共に育てる逸品-et.moku-

無垢の木から削り出したカップを販売しているet.moku(エトモク)。材料選びだけでなく、木目を生かした手彫りの技、木が呼吸できる塗装など、細部にまでこだわるのが壷井さんのスタイルだ。そんな彼女が作り出す一点物は、じっくり育てることでさらなる味わいが生まれるという。



大のキャンプ好きである壷井さんがカップを作り始めたきっかけは、「自分だけのカップを使って、キャンプでおいしいコーヒーを飲みたい」との思いから。自分好みのカップを探すうち、偶然見つけたのが「ククサ」という北欧の伝統工芸品だった。

「温かみを感じる独特な形が気に入りました。すぐに手に入りやすい市販のククサを購入しましたが、独特の木の香りが強いものや、塗料のにおいがするものがあり、コーヒーの味にも影響します。なかなか自分だけのカップに出会えず。それなら、自分で理想のカップを作ろうと考えたんです」と壷井さん。だが、カップ製作はおろか、木工細工の経験が無かったという。理想のカップづくりは、手探りの状態から始まった。

-Profile- et.moku 壷井奈々さん
家族全員キャンプ好きだという壷井さん。「カップの端材は薪に使っています」という徹底ぶり。実際、彼女の作品はキャンプや登山目的で購入していく人が多いそう。

一つひとつ丁寧につくられたカップは、塗装だけで最低でも2週間かかる。独特な匂いがするウレタン系の樹脂は使わず、薄いガラス塗料を木の中に何層も染み込ませて仕上げている。「水や汚れに強い。でも木の呼吸はさまたげないことを大切にしています」と語る壷井さん。材料の選定や塗料の重ね方など試行錯誤を繰り返し、現在の形にたどり着くまで2年の月日が掛かった。

木目の味わいを最大限生かせるように、表面は手彫りで仕上げるのが壷井さんのこだわりだ。

壷井さんの作品は、オリジナルのククサと同様、使いながら木の変化を楽しめる。コーヒー用のカップとして使い続けているうちに、着色成分や油分によって木の色が変化してくるという。そんな育てる楽しさも大切にしていて、「カップはお客様が育てるものだから」と、ブランド名の焼き印を入れていないのもこだわっているポイントだ。

もう一つ、壷井さんがこだわるポイントがある。それは「木のストーリーを伝える」ことだ。カップを購入した人には、必ず木の特徴や花言葉(木言葉)を記したカードを添えている。
「商品を選んでもらったとき、選んだ木がどんな風に育ったかも知ってほしいんです。そうすることで長く大切に使ってもらえると考えています」。

型からくり抜いた状態のカップ。

「キャンプを楽しむために作ったのがきっかけでしたが、ここまでのめり込むとは思ってもみませんでした」と壷井さん。ほかにもキャンプに役立つカッティングボードや、ご主人と一緒にランタンを制作中だという。キャンプからはじまった新たな趣味は、木と共に時を刻みながら成長を続けている。

「革製品のように経年変化を楽しんでください」と語る壷井さん。ロハスフェスタでは、使い込んでいい色味が出たカップの見本も展示していた。