クロワッサンやメロンパン、プレッツェルやバームクーヘンなど、多彩なパンやお菓子の文房具やアクセサリーが並ぶ様子は、まるで童話の世界に迷い込んだよう。実はこの作品、全て「本物」を使用しているのだという。
クロワッサンやメロンパン、プレッツェルやバームクーヘンなど、多彩なパンやお菓子の文房具やアクセサリーが並ぶ様子は、まるで童話の世界に迷い込んだよう。実はこの作品、全て「本物」を使用しているのだという。
「材料には、全て本物のパンやお菓子を使うのがこだわりです」と語る林さん。コーティング剤を塗って仕上げてあるので、食べることはできないが、本物のようなシズル感がある。「強く握りしめたり、硬い床に落としたりすると、形が崩れることもありますが、2~3年くらいは使えるんですよ」。
林さんの作品は、娘さんが幼稚園の頃に「洋服に本物のパンが付いてたら、すごく素敵」という一言がきっかけだったそう。それから、実際に店で売られている食用のパンを調達し、作品づくりに取り掛かった。
初めはニスを塗るだけで出来上がると思い試したが、パンが溶けてしまうなど失敗の連続。試行錯誤を繰り返した結果、「コーティング前の陰干しで、しっかり水分と油分を飛ばす必要があるとわかりました」。季節や気候にもよるが、平均すると1週間は陰干し期間が必要で、一つひとつ丁寧に仕上げる作品は、まるで時間をかけて熟成させる料理のようだ。
現在は食器などにも使う安全な材料を使用しているが、コーティング剤に何を使うかも非常に悩んだポイントだった。宮大工である義理の父から知り合いの塗装業者を紹介してもらい、さまざまなコーティング剤を試したそう。
「最初に『何を塗るの?』と聞かれて、『パンです!』と答えたときの業者さんの驚いた顔は忘れられません。でも、何度も質問するうちに仲良くなって、色々教えてもらえるようになりました。アイデアをくれた娘をはじめ、家族や周囲の人たちの協力なしには完成しなかったと思います」。
手がける作品はクロワッサン型の作品に始まり、プレッツェルやバームクーヘンなど、広がりをみせていった。「もともと趣味でパンやお菓子をよく作っていたというのもありますが、単純に自分が好きだから。やっぱり、たくさんのパンやお菓子が並んでいた方が可愛いですよね」とシンプルな思いから。
客層は幅広く、男性や年配の人も買っていく。「家族へのプレゼントや自分用など、いろんな目的で購入してもらっています。今では、ベーカリーがお店に飾るディスプレイとしての制作依頼もいただいています」と語る林さん。本物を使うこだわりと自分が好きな物を追い求める真摯な姿勢が、多くの人を魅了している。