華やかさの中に感じるどこか懐かしい温かみ。そんな思いを抱かせてくれるのが、細木さんが作るアクセサリーだ。繊維の街・倉敷で作り続けている作品の数々は、彼女の「布遊び」から生まれた。
華やかさの中に感じるどこか懐かしい温かみ。そんな思いを抱かせてくれるのが、細木さんが作るアクセサリーだ。繊維の街・倉敷で作り続けている作品の数々は、彼女の「布遊び」から生まれた。
細木さんが手がける作品の中で特に人気なのが、花の形を表現した布製のアクセサリーだ。色や風合いが異なる素材の良さを巧みに生かし、手縫いで丁寧に仕上げていく。
伝統的な染色や裁縫の技法からヒントを得たと話す。例えば染色をする際、布の一部を縛るなどの方法で圧力をかけ染料が染み込まないようにすることで模様を作り出す技法だ。模様をつける際に縛る工程を応用し、糸でギュッと布を丸めて花の形へと模していく。出来上がったイヤリングやブローチの数々は、華やかさの中にどこか懐かしい温かみも感じさせてくれる。「せっかく手縫いで仕上げるので、手作り感を大事にしています。また、昔の技法をそのまま真似するのではなく、今風の服装にも合うようにアレンジを加えています」。
2015年頃に立ち上げた「peie」のブランド名は「小さな家」をイメージして名付けた。家で過ごす穏やかな時間のような、「ほっこりとして心温まるもの」を作るのが細木さんの信条だ。そんな思いを形にするため、細かい点にも気を配る。「普段から身に付けるものなので、軽さが大切です。ブローチなら生地を引っ張らない軽さ、イヤリングなら耳の負担にならない軽さで作るように心がけています」。
細木さんはジーンズや帆布のバッグなど繊維業が盛んな倉敷の出身。「祖母が服の縫子(裁縫を専門にする職人)をしていて、小さいころから祖母の横で裁縫をしていました」と語るように、幼い頃の経験がものづくりの原点となっている。
布を使ったものづくりをしていると、どうしても出てきてしまうのが端切れ。ただ、細木さんは、端切れの形をじっと眺めていると新しい作品を思いつくことがしばしばあるため、捨てず取っておくそう。そうやって布に触れる時間のことを、彼女は「布遊び」と表現する。「リネンとか綿とか、やっぱり布が好きという気持ちが一番強いです。いつも『布遊び』をしながら、『こんなアクセサリーにしたら可愛いだろうな』って考えて楽しんでいます」。細木さんの「布遊び」で今後どんな作品が生まれるのか、興味は尽きない。