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農業資材を再利用するサステナブルな有機農業を実践 -AIBA FARM-

東京から千葉へ移住し、有機野菜を栽培している酒井洋樹さん・香織さん夫妻。トラクターの燃料にBDFを使い、資材も再利用するサステナブルな農業を行いながら、収穫体験も実施し、都会と地方を農業でつなぐことを目指している。



「ロハスフェスタ東京」が開催されている練馬区光が丘に生まれ育った酒井洋樹さんは、30歳代の頃、会社勤めのかたわら趣味として市民農園を借りて野菜を育てていた。農薬や化学肥料を使わない有機栽培で、おいしく安全に育った野菜を家族以外にも知人や友人に配ると喜ばれ、酒井さんのやりがいも育まれた。「有機栽培の奥深さにハマり、農業を仕事にしたいと思うようになり、40歳になったら農家になると決意しました」と振り返る酒井さんは、高齢化や後継者不足、耕作放棄地の拡大など課題も多い農業の世界に飛び込んだ。千葉県富里市に移住し、オーガニック野菜を栽培するグループで研修して就農。「AIBA FARM」として2019年に独立した。

-Profile- AIBA FARM 酒井洋樹さん・香織さん
40歳になったら就農するという宣言通り千葉県へ移住し、夫婦で有機農園を運営。「饗場(あいば)」は奥さんの母方の旧姓で、生前に農業をしたかったという意思を受け継いでこの屋号に決めた。

酒井さんが「ハマった」という有機農業の奥深さとは何だろう。「一つは、種取りです。一般的な農業では、一代限りで優れた性質の作物が生るF1品種の種を使いますが、有機農業では収穫した作物から種を取り、翌年もその種を撒いて育て、また種を取ってと、代々種をつないでいく育て方をする農家が多く、私もそうしています」と自家採種した種を育てる有機栽培の醍醐味を語る。その種を撒く土にもこだわっている。鶏を健全に育てている養鶏場からもらった鶏糞や、米農家からもらった米ぬかに水を混ぜ、発酵させてできた有機肥料を畑にすき込み、ふかふかの豊かな土壌を作っている。

秋は収穫の季節。穫れたばかりの有機野菜を販売。木製の棚はDIYが得意な友人に作ってもらったそう。

また、酒井さんは以前からサステナブルな農業を実践していて、農業資材もできるかぎり再利用するよう努めている。「たとえば、マルチ。野菜が育つ土を保温するために畝の上にマルチという黒いビニールシートを張ります。普通は1回使ったら作物の収穫時に取り除いて廃棄するのですが、私は畝から丁寧に取り外し、翌年の栽培にも使っています」と、資材も含め、環境にやさしい栽培を心がけている。

かごに盛られたサツマイモは、甘くなるように数週間熟成させたものを販売。

さらに、畑を耕すトラクターの燃料には、軽油の代わりに、生物由来の油を原料とするBDF(バイオ・ディーゼル・フューエル)を使っている。「トラクターを動かすと、天ぷらを揚げたような甘い香りがしますよ」と笑顔で話す酒井さん。楽しみながら、そして毎年バージョンアップしながら、有機農業への取り組みを続けているが、これからは、「東京をはじめ、都会の子どもたちに収穫体験を楽しんでもらったりしながら、東京と地方を農業でつなぐ役割も果たしていきたいです」と、新たな取り組みにも意欲を示した。

ゆで落花生用に開発された、おおまさり。この季節ならではの味わいとして千葉県では人気の落花生だ。