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メキシコのサポテコ族とフェアトレードなもの作りでブランドを展開 -somaru-

メキシコのサポテコ族に伝わる自然染色の織物から作るクッションカバーやラグ。民族の伝統をリスペクトしながら、日本人のライフスタイルに合う色や柄にアレンジして販売。フェアトレードな取り組みで、現地住民の雇用も生み出している。



夫の転勤を機にメキシコへ移住した吹田あやかさん。現地の民族の人たちと一緒にアパレルブランドを運営するという、以前から描いていた夢を実行しようと決意し、見知らぬ村々を訪ねてまわった。「スキルや経験がないからあきらめていた夢って、誰にでもあると思います。私はデザインも染色も未経験で、外国でブランドを立ち上げるなんて夢のまた夢とあきらめていましたが、チャンスが舞い込んできたので挑戦しました」と、メキシコへ渡った時のことを思い出す。2022年の春のことだ。
サポテコ族が暮らす数十の村々を訪ね、スマートフォンのグーグル翻訳を頼りに、ともに活動してくれる住民を募った。「村をまわるうちに、ここは染色が盛んな村、ここは陶芸が得意な村と、村によって特色があることがわかってきました。その中でも、自然染色と織り機で生地や製品を作っている人たちに魅了されました」。

-Profile- somaru 吹田あやかさん
夫とともにメキシコに渡り、サポテコ族の暮らす村々を訪ね歩き、仲間を募り、工房を立ち上げるに至った吹田あやかさん。その行動力で一歩一歩、夢の実現に近づいている。

数か月間、村々を訪れた末にテオティトラン村で信頼できる仲間たちに出会うことができた吹田さん。ついに「somaru」を立ち上げ、今は女性7名、男性1名のスタッフと一緒に日々、工房で商品作りに励んでいる。
テオティトラン村の住民は、昔から伝わる伝統技法を用いて生地を織る職人肌の人が多い。「羊の毛から紡いだ糸を自然染色で染めています」と見せてくれた染料は、アボガドの皮を乾燥させたもの。廃棄する皮を乾燥させ、お湯に浸けると、赤い染料として活用できる。また、2種類以上の染料を調合して、色を作るのもサポテコ族が得意としている技法だ。「赤い染料にレモンの汁を調合するとオレンジ色になりますが、そうして染めた糸がこれです」と、シックなオレンジ色に染まった毛糸を見せてくれた。

サポテコ族の染色技法で染め、織られたラグ。

「オレンジ色だけでも100種類ほどあります」というほど、多彩に染め上げるのが特徴だ。アボカドの皮以外にも、山から採ってきた植物や、家の敷地に植えてある木の皮や葉、草などあらゆるものを活用し、美しい色に染めた糸で生地を織っている。また、サポテコ族は、山や川、風、太陽といった自然を崇め、感謝している。自然の事物を織物のモチーフに使うことも多いが、伝統的なデザインだととかく落ち着いた、地味な商品になりがちなので、吹田さんは伝統をリスペクトしつつも、日本人のライフスタイルや好みにアレンジしたデザインや色使いを行うよう心がけている。「サポテコ族の人たちが思いつかないようなポップな色合いで織ってもらうこともあります。そういうアレンジには、彼女たちも理解を示してくれています」。

羊毛から糸を紡ぐところから、採集した植物の染料を作って染め、織り上げるまで、すべて手作業で行われる。

ただ、日本人は商品に高い品質を求めるので、縫製がしっかりしているか、生地の触れ心地がいいかといった点まで十分に注意しながら作る必要がある。「細かい部分まで改良に改良を重ねて作っています」と吹田さん。そのぶんの手間に見合った正当な報酬を支払うことで、互いに納得しながら、同時に作る技術も高めながら、仕事を進めることができている。まさに、フェアトレードだ。
「今回、『ロハスフェスタ東京』でご来店くださったお客様から、『こういう柄があれば』『大きめのサイズのバッグもいいな』といったお声をたくさんいただきました。メキシコに戻ったら、早速スタッフとミーティングをして、商品作りに活かしたいです」と目を輝かせていた。これからの展開が楽しみなブランドだ。

サポテコ族のスタッフ数名と一緒にクッションカバーやラグなどを製作。