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自動車の廃材とアパレルの端材が織りなすアップサイクル -YUEN-

ナイロン製の小物入れや手編みのカバンなど、多彩なバリエーションで展開するYUEN(ゆえん)のアイテム。そんな逸品の数々の背後には、アップサイクルへの考え方や海外の貧困女性を支援する取り組みなど、様々なストーリーが存在している。それぞれに込められた思いを、代表の忠津さんに伺った。



スマホケースや小銭入れなど、用途ごとに多彩な展開をしているアイテムの数々は、実はシートベルトやエアバッグなど自動車部品の廃材から作られたものだ。これらの自動車部品に使われるナイロン生地は非常に丈夫な素材でありながら、安全面の理由などから自動車部品としてリサイクルすることは難しく、その多くが廃棄されているという。

-Profile- YUEN 忠津 寛史さん
YUENの名前は「所以」と「由縁」から。「機能や狙いが見えるものを提案し、『つい惹かれてしまった』出会いを大切にする」との思いが込められている。

そんな本来捨てられてしまう素材に、新たな命を吹き込んだのがこれらの逸品だ。「生地が丈夫なのも特徴ですが、独特の風合いが出るのも魅力です」と語る忠津さん。シワの入り具合や色味を見ると、使い込まれたヴィンテージ風の質感を思わせる。アイテムによっては元の生地に刻まれていたステッチが残っていて、一点ずつ表情が異なるのも魅力だ。

(rerer kye 2,970円)通常のアパレルに使うナイロンとは手触りも異なる。目で見るだけでなく、手で触れても楽しめる。

「加工に手間がかかってしまうと価格が高くなってしまい、結果、余って無駄になってしまう」とアップサイクルの問題点を感じていた忠津さん。YUENのアイテムは「なるべく簡単な作りにして、手に取りやすいように」とのコンセプトを掲げている。また、必要最低限のものだけを収納して出かけられるサイズ感は、日々のちょっとした外出に最適だ。

(project1000 shoulder 8,580円・handle tote 8,580円)端材を使用しているため色や柄も一期一会。お気に入りの逸品を探すのも楽しい。

そのほかにも目を引くのが、丁寧に編み込まれたバッグとストラップの数々。こちらの製品は、インドの農村部で働く女性たちが、アパレル工場で生じるカットソーの端材を使って、一つ一つ手編みで仕上げたもの。忠津さんが代表を務める会社では、インドの雇用プロジェクトである「PROJECT1000(※)」の理念に賛同し、これらの製品の輸入も行っている。

※PROJECT1000:農村部の女性が自分たちの創造性を高められるような仕事につき、自立の手助けをする取り組み。女性たちが1日1000ルピー(約1,700円)稼ぐことを目標としている。(主催:株式会社リンド・参照:プロジェクト1000 in Japan Webサイト)

(左:obi high 16,500円・右:obi low 14,300円)シートベルトと植林木が素材のスツール。分解すればバッグに入れて持ち運びも可能。

自動車部品から生まれた小物入れと、アパレルの端材から生まれたストラップは、それぞれ単体で使えるだけでなく、組み合わせて楽しめるのもうれしいポイントだ。「こちらが想像していない使い方をするお客様もいて、じゃあ次はどんな商品を作ろうかと想像が膨らみます」と語る忠津さん。アップサイクルへの思いと顧客の利用シーンに寄り添ったものづくりで、次はどんなアイテムを世に出すのか期待が高まるところだ。

「PROJECT1000」では、参加する女性が働くモチベーションを向上するような目標も掲げている。