透明なレジン(樹脂)の中をよく見てみると、多数の金属質のパーツが埋め込まれていることがわかる。夕空のブランド名で展開するアクセサリーと雑貨には、菅俣さんが携わる本業で手に入るトラック部品が使われているという。彼女のものづくりへのこだわりを聞いた。
透明なレジン(樹脂)の中をよく見てみると、多数の金属質のパーツが埋め込まれていることがわかる。夕空のブランド名で展開するアクセサリーと雑貨には、菅俣さんが携わる本業で手に入るトラック部品が使われているという。彼女のものづくりへのこだわりを聞いた。
菅俣さんが制作するアクセサリーと雑貨の中に埋め込まれているのは、元はトラックに使用されていた部品とワイヤーだ。実は菅俣さんの本業はトラック整備。大阪市内に本社を構える昭和44年設立の会社で代表を務めている。日々長距離を走行するトラックには、安全確保のためオーバーホールが欠かせない。その中で、シーリングやワッシャー、スプリングなど多くの部品を交換する必要が生じる。その一方で、交換後の部品は安全上の理由から再利用されず、廃棄されているのが現状だ。「なにかに転換できないか」と考えたのが、菅俣さんがものづくりを始めたきっかけだった。
「作り方はいたってシンプルです」と語るその製法は、型にトラック部品とワイヤーを入れて樹脂を流し込み、表面を研磨して仕上げていくもの。樹脂のセレクトで多彩なカラーリングも可能だが、「色数が多すぎると中の部品が目立たなくなりますから」と、現状では4色展開までに留めている。
菅俣さんがこだわっているのが「元の部品の質感を残すこと」。交換後の自動車部品は、表面に傷や汚れなどが残っているものも多いが、あえてそのまま使用しているという。「使い込まれた質感に魅力を感じるお客様も多いんです。きれいな部品を使うよりも評判がいいくらいです」。
ブローチやペンダント、イヤリングなど、さまざまな用途で提供しているものの、「使い方を自由に考える」ことも大切なテーマだという。「一見するとわけのわからないものをあえて作って、使い道を想像できる方が楽しいから」と語る菅俣さん。シンプルな仕上げにこだわるのも、使い手が自由に想像を膨らませるためだ。
アクセサリーに使う小さな部品以外にも、現状廃棄されている部品は数多くある。今後菅俣さんは、それらの部品を使ったインテリアづくりにも挑戦する考えだ。「作りたいものはたくさんあります。でも、普段の暮らしで使えるものじゃないと意味がありませんから、その点はこだわっていきたいですね」。