マーブル模様が美しい油彩画風のスマホケース、絵の具が飛び散った現代アートのようなバッグ。芸術的なこれらの雑貨を手掛けているのは、現役ネイリストで、クリエイターとしても活躍する「atelier YOU'S」の小野裕梨さん。表現者として二つの顔をもつ小野さんに、日々の創作活動について伺った。
「元々ハンドメイドが好きで、ネイルの仕事で得たものを他にも生かせないか?と考えたのが、今の創作活動をはじめたきっかけです」爽やかな笑顔でそう語ってくれた「atelier YOU'S」の小野裕梨さん。現在、小野さんはネイリストとして自宅でプライベートネイルサロンを営みながら、オリジナルデザインのスマホケースやバッグなどの雑貨を制作・販売している。
小野さんがクリエイターとしての活動を本格的に取り組み始めたのは、2020年に流行が始まったコロナウイルスの影響を受け、当時経営していたネイルサロンを一時閉店せざるを得ない苦境に立たされた時だった。ネイリストとして培った経験を生かして、子育てと両立しながら自宅で何か始められないかと思案し、ちょうどその頃少しずつ試作していたオリジナルスマホケースの制作と販売に力を入れることにした。
「雑貨のデザインは、ネイルのデザインからインスピレーションを受けているものも多いです」。小野さんの手によって一つ一つ生み出されるスマホケースは、どれもネイリストとしてのみずみずしい感性と繊細な技術を感じさせる。アクリル絵の具やネイルアートの材料などを使って手作業でデザインを施した後、表面をレジンでコーティングする。
最近は、スマホケースだけではなく、バッグやポーチなどの新たなジャンルのアイテムの制作にも挑戦。現代アートのようなデザインのトートバッグ「paint series」は、「タイベック」という高密度ポリエチレン不織布と、小野さんが一点一点手作業で模様を付けた、透明のポリ塩化ビニルを重ね合わせて、職人が丁寧に縫製したこだわりの詰まった商品だ。どれも丈夫で長持ちし、色の組み合わせや配置など一つとして同じものはないので、お気に入りの一点を探すのも楽しい。
普段、インターネットと商業施設などの委託販売を中心に販売活動を行なっている小野さんにとって、対面販売ができるロハスフェスタの会場は、「お客さんから刺激と活力をもらえる場所」だという。ネイルと雑貨という異なるフィールドを行き来しながら、独自の世界観を表現する「atelier YOU'S」の今後の展開に注目したい。