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窯の中で焼き付けた、懐かしさと新しさの結晶 -hugeceramics-

鮮やかな色彩の上で、まるで宝石のように輝く幻想的な結晶――。この神秘的な光は、見る角度によってさまざまな表情を見せる。hugeceramicsの堀内大輔さんは、「作品のテーマはレトロ感」だと語る。どこか懐かしい温もりと現代の暮らしに溶け込む新しさを兼ね備えた、独自の世界観が表現されている。



堀内さんの作品は、私たちが見慣れた陶器とは一線を画す独特の魅力を放っている。特に目を引くのが、釉薬による美しい結晶模様だ。通常8時間かける焼成を20時間かけて行い、その過程で結晶を成長させる。「冷却するときに花が開く」と堀内さんは表現するが、窯の中は1000度をゆうに超える高温で、完成するまで仕上がり具合を確認することはできない。温度管理の絶妙なバランスを見つけ出すまでに数え切れないほどの試行錯誤があり、この技法の確立に3~4年を費やしたという。

-Profile- hugeceramics 堀内大輔さん
かつてモトクロス選手を目指していた異色の経歴を持つ。多様な人生経験が作品にも影響を与えている。

これまで堀内さんが歩んできた道のりも、作品のユニークな魅力と無関係ではない。美術系の高校で陶芸と出会い、その後は中古車販売や椎茸の原木栽培などの本業のかたわら陶芸を続けてきた。ところが2011年の東日本大震災によって椎茸の原木を調達できなくなる。この危機を堀内さんは新たな出発点と考え、陶芸一本での活動を始めることに。そしてこれまでの多彩な経験は、制作にも活かされている。「自動車の板金塗装の技法を使ったり、お菓子用の道具を使ったり」と、業界の常識にとらわれない自由な発想で作品を生み出している。どこかの窯元に弟子入りした経験がないからこそ、伝統や型にとらわれない柔軟な発想が可能になった。

幾何学的な模様は、なんとクッキー用のローラーでつけたもの。

新作のアイディアは、日常のあらゆる場面から生まれる。90年代のファッション誌を取り寄せてながめたり、車の運転中に目にした造形物からインスピレーションを得たり、創作の種は予期せぬ瞬間に芽吹くという。そうして生まれた作品は、毎月のように新作として世に送り出されている。作品の支持層は主に30代から50代の女性。これは、90年代後半のポップな雰囲気を取り入れた懐かしさのあるデザインが、この世代の琴線に触れているからだろう。

キラキラ輝く結晶には、ながめていると思わず引き込まれる不思議な魅力が。

実用面で掲げているコンセプトも興味深い。「出来合いのスイーツやお惣菜も、このお皿に載せ替えるだけで美味しく見える」と堀内さん。日常の食事を特別な時間に変える、そんな魔法のような力を秘めているのだ。そして、そのユニークな魅力はメディアにも認められ、テレビドラマの小道具としても使用されるほど。長年の試行錯誤から生まれる結晶の輝きと、型にとらわれない自由な発想。それらが溶け合って生まれる作品は、私たちの暮らしに彩りを添えていく。

製作においては、「毎日が楽しくなる」ワクワク感も大切にしている。