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捨てられるプラスチックに、アートの息吹を -INCREASE PLASTICS-

イベント業界から排出される大量のプラスチック。その多くは廃棄される運命にあり、未使用のまま捨てられてしまうこともしばしば。そんな「もったいない」という思いから生まれたのが、INCREASE PLASTICSだ。ブランドの生みの親である井上恭男さんに話を聞いた。



奇抜な色のミックス具合に目を奪われる作品の数々。「2枚として同じものはできない」と井上さんが語るように、同じ素材、同じ工程から作られていても、配合やプレスの圧力などのわずかな違いによって全く異なる表情を見せる。この予測不可能な色合いや模様が、アート作品としての魅力を高めている。これらの素材となっているのは、イベント業界から排出されるプラスチック。実はINCREASE PLASTICSを立ち上げた井上さんの本業は、本来は尼崎に本拠を構えるイベント制作会社だ。西日本を中心に、スポーツ関係や航空会社などのイベント製作・運営を主要な事業としている。

-Profile- INCREASE PLASTICS 井上恭男さん
「今後は、その場でリサイクル製品を作るワークショップに挑戦するのもおもしろそうですね」。

さまざまな分野で活躍する中で、業界特有の課題に直面してきた。「クリアファイルやノベルティは、ロゴの改定や季節の変わり目で、未使用のまま廃棄されることも少なくありません」と井上さん。そのほか、イベントで使用されるカプセルトイの容器なども、中身を取り出した後は廃棄されるばかりだという。資材がただ廃棄されていく現状を何度も目にした経験が、INCREASE PLASTICSを立ち上げる原動力となった。ブランド立ち上げのヒントになったのは、オランダ発のプロジェクト「プレシャスプラスチック」の存在だった。

一見すると原材料が廃プラスチックだったとは想像できない仕上がり。

同プロジェクトでは、プラスチックをリサイクルする機械の設計図やデータをオープンソースで公開するなど、誰でもリサイクルに挑戦しやすい環境を整えている。このプロジェクトを発見し、「これなら自分たちでもできるのでは」と感じた井上さんは、海外から機械を輸入。時計や椅子の座面、テーブルなど、さまざまなプロダクトを生み出すまでに至った。材料となる廃プラスチックは、一般家庭からの回収ではなく、まとまった量を確保できる企業からの買い取りを基本としている。これは単なる処理能力の問題だけではなく、「企業のCSR活動の一環として、お互いに社会的な意義がある」という考えから。今後は、飲食店や病院、百貨店などの業務用製品にも展開を広げる計画だ。使い捨ての運命にあった資材に新たな命を吹き込むINCREASE PLASTICSの取り組みは、持続可能な社会への確かな一歩となっている。

平面だけでなく、プランターのような立体的な成形も可能だ。