コーヒー文化の発祥の地、イエメン。業界では「幻のコーヒー」と称されるほど希少で高い価値を持つ豆を、現地の小規模農家とともに丹精込めて栽培し、手作業で精選。質の高い豆として販売を続ける「MOCHA ORIGINS」の香り高いコーヒーはいかが?
コーヒー文化の発祥の地、イエメン。業界では「幻のコーヒー」と称されるほど希少で高い価値を持つ豆を、現地の小規模農家とともに丹精込めて栽培し、手作業で精選。質の高い豆として販売を続ける「MOCHA ORIGINS」の香り高いコーヒーはいかが?
コーヒー好きでなくても、「モカ」という言葉は聞いたことがあるはず。数あるコーヒーの銘柄の中の代表的な種類だが、実はアラビア半島にある国イエメンの都市の名前でもあり、そこにあるモカ港から出荷されていたコーヒー豆なのでモカと呼ばれるようになったそうだ。イエメンは世界最古のコーヒー文化を持つ国として、15世紀頃からモカ港からコーヒー豆を出荷していた。一説によると、イスラム教徒が夜遅くまで起きてお祈りをするために飲んだ「カフア」が、コーヒーの起源だとも言われている。ただ、イエメンコーヒーは世界的に見て非常に生産量が少ないため、コーヒー業界では「幻のコーヒー」と称されることもある。コーヒー栽培に向いた農地が少ないことと、長く内戦状態にあり、他の農作物と同様コーヒーの生産も簡単ではないことから生産量が限られているのだ。
そんなイエメンコーヒーの価値を知る、イエメン人のアルモガヘッド・タレックさんが、妻のひとみさんと一緒にブースに立ち、来場者に試飲のコーヒーを手渡ししていた。話を伺うと、「僕はモカの近くの街で生まれ、7歳からコーヒーを飲んでいました。デーツというドライフルーツを食べながら」と、子どもの頃から愛してやまないコーヒーについて話してくれる。タレックさんは大学に留学するために日本へ来て、日本人はコーヒーが大好きであり、イエメンのコーヒー豆も販売されていることを知った。ただ、他の産地の豆と混ぜて「イエメンコーヒー」として販売するなど、そのクオリティの低さに愕然とした。「これはいけない」と思ったタレックさんは意を決して、大学卒業後に「MOCHA ORIGINS」を設立し、イエメンコーヒーの輸入販売を始めたのだ。
イエメンに住む家族や兄のコサイさんの会社と協力し、事業を軌道に乗せていった。コサイさんが現地のコーヒー農家をまわり、よりよい豆の栽培法を指導したり、作業を手伝ったり、土壌や苗木の状態を確認したりするなど小規模農家をサポート。実ったコーヒーチェリー(赤い実)を収穫、乾燥させて中に入っているコーヒー豆を取り出し精選、それを買い取り、「MOCHA ORIGINS」に送り届けている。「コーヒーの収穫は年に一度。生産量が限られているので、小規模農家の収入を支えるためにも可能な限り高値で買い取っています。1年に15キロしか収穫できない農家でも、翌年もコーヒー栽培を続けられるように適正価格を支払い、応援しています」とタレックさんは、フェアトレード以上に手厚い支援と信頼で成り立つダイレクトトレードを行うことで、イエメンの小規模農家の生活とコーヒー文化を守っている。
「MOCHA ORIGINS」が販売するイエメンコーヒー豆は、フルーツのような酸味と甘みが特徴で、モカはチョコレートっぽい味と香りに包まれる。豆の種類や焙煎具合によっては、黒糖のような味わいを感じるものもあり多種多様だ。公式ウェブサイトからも購入できるので、ぜひ一度、イエメンコーヒーの味わいを堪能してみてほしい。「無農薬で栽培し、機械もほとんど使わず、手作業で作っています。標高が高く、寒暖差の大きいコーヒー農園だからこそ醸し出される深く、複雑な風味を楽しんでみてください」と、タレックさんはイエメンコーヒーの魅力を伝える。ちなみに、「MOCHA ORIGINS」は大阪府高槻市に100%イエメン産モカコーヒー専門のコーヒースタンドを2023年にオープン。「ハードルは高いですが、いつかは東京にもオープンさせたいです」と今後の展開を語っていた。