地元の玉葱からつくったピクルスをハーブで青、赤、黄色に染めたピクルスソース。販売するのは、日本の農業をもっと元気にしたいという思いを持つ異業種の2人だ。彼らが目指すのは、若者が魅力を感じる「儲かる農業」だという。
地元の玉葱からつくったピクルスをハーブで青、赤、黄色に染めたピクルスソース。販売するのは、日本の農業をもっと元気にしたいという思いを持つ異業種の2人だ。彼らが目指すのは、若者が魅力を感じる「儲かる農業」だという。
「いらっしゃいませ!」という元気のいい声とお客で盛り上がっているのは、京都府福知山市から出店した「M.vege」。地元で採れる玉葱を細かく刻んだピクルスソースを販売し、その試食を呼びかける声にお客さんが集まっていた。「実は僕、ピクルスが嫌いなんです(笑)。そんな僕でも食べられるピクルスをつくったら、お子様からお年寄り、そして玉葱が嫌いな方にも気に入っていただけるんじゃないかなという思いで開発しました」と、衣川さん。原料の玉葱を刻んでみたり、染めてみたりと試行錯誤しながら商品化し、2024年には、日本野菜ソムリエ協会が主催する「第15回調味料選手権2024」で審査員特別賞を獲得した。
玉葱のピクルスソースは、まるで宝石のような輝く色に染められている。sour(サワー)は青いピクルスソースで、バタフライピーというハーブで染められたもの。「昆布だしを使っているので味わいが豊か。オリーブオイルを混ぜるとドレッシングのようになります。サラダにかけたり、カルパッチョのソースにしたり」と、おすすめの食べ方を教えてくれる衣川さん。赤いソースはSWEET(スウィート)。ハイビスカスローゼルというハーブで色づけしたもので、「ローストビーフや鰹のたたきにかけると最高。マヨネーズを加えるとタルタルソースに変身します。揚げ物にかけると抜群においしいですよ」とのこと。黄色のソースはspice(スパイス)で、「ニンニクと黒胡椒と蜂蜜が入っていて、チキンとポークの料理にめちゃめちゃ合いますよ」と、お客さんに薦めていた。
衣川さんと松下さんは農家かと思いきやそうではなく、衣川さんの本業は建設会社の代表で、松下さんはアパレル業で自身のブランドを展開しているという異業種のペア。「数年前に経営者が集まる会で知り合いました。地元、そして日本の農業を盛り上げたいという僕の思いに賛同してくれて、一緒に活動を始めました」と衣川さんは2人の出会いを振り返る。地元の福知山の野菜を大阪で開催されたマルシェで毎月販売し、その資金で玉葱のピクルスソースの商品化を進めた。「今、39歳以下の農家はたったの5パーセント。実は若い新規就農者は意外にいるのですが、3年以内に農業を辞める離農率が高いので、一向に若者が増えないのです。農業をもっと若者が魅力を感じる職業に変えないと国産の野菜や、農家そのものがなくなりかねません」と、衣川さんは農業の危機感を訴える。
では、農業の魅力とはなんだろう。衣川さんは、「儲かること」とキッパリと言う。「儲かれば、仕事として続けられます。じゃあ、どうやって儲けるか。方法の一つが6次化です。収穫した野菜をそのまま出荷するのは当然ですが、さらに消費者が食べてみたいと思うような付加価値をつければ何倍もの値段で販売できます。僕たちが使っている玉葱には規格外のものも含まれていますが、そうした玉葱を活用することも利益を出すための工夫ですし、食品ロスを減らすという点からも価値のあること。工夫を重ねて“儲かる農業”を実現し、農業がなりたい職業ベスト10にランキングされるようにすることがこの事業の大きな目標です」と目を輝かせる衣川さん。玉葱の次の商品開発にも期待が寄せられている。