財布やカバン、カードケースやアクセサリーなどさまざまな革小物を製作するdulltones(ダルトーンズ)。革作家の西野方規さんと奥さんである由紀子さんが2年前に立ち上げたブランドで、二人でデザインと製作を行っている。
財布やカバン、カードケースやアクセサリーなどさまざまな革小物を製作するdulltones(ダルトーンズ)。革作家の西野方規さんと奥さんである由紀子さんが2年前に立ち上げたブランドで、二人でデザインと製作を行っている。
店頭に並ぶ作品はどれもシンプルな仕上がりだが、細部にまでこだわりを感じる。
ほとんどの工程で、ミシンは使わず手縫いで仕上げられている。手縫い用のしっかりとした糸で一目ずつ丁寧に縫いあげるので、切れにくく丈夫。
ステッチがやさしく、ナチュラルな雰囲気に仕上がるのも、手縫いならではだ。革の切り口や裏側は、クリームで丁寧に磨く。手間を惜しまないため、一つの作品作りに一日かかることもあるという。
材料のほとんどは、厚みのあるタンニンなめしの牛革。半裁の牛革を仕入れてカットして使うが、部位によって向き不向きがあるため、割り当てが難しい。
「革は、布のように端から端までは使えません。もったいないので、端の薄い部分はイヤリングやネームタグなどの小物に使っています」と由紀子さん。できるだけ無駄を出さないために、ブローチなどの手芸にも使ってもらえるよう、革端切れも販売している。
作品には、アイデアや遊び心が詰まったものが多い。
「あったらいいな、と思うものってお店にはなかなかなくて、近いものを代用することが多いですよね。それを自分たちで作って提供していきたいですね」と西野さん。例えば、半分に割れる消しゴムカバーや、袋を持つのが楽になる持ち手カバーなど、大人の日常を便利に、楽しくしてくれるスマートな革小物だ。「デザイン案を考えた時点では、それが形になるか分かりません。新しい作品を作るときは毎回ドキドキしますね」。一度形にして、イメージと違えば切り直してもう一回作る、という繰り返しなのだそう。
ヌメ革は、使えば使うほど柔らかくなり艶がでてくる。「クリームでお手入れするとまた艶が出てきて愛着が湧きますよ」と話す西野さん。「古くから贔屓にしてくれるお客さんが時々、使い古したカバンを持ってきてくれます。革がいい感じにやわらかくなって艶が出ていて、『使い込んでくれているなあ』と嬉しくなりますね」と西野さんご夫婦。
シンプルな革小物が、使う人の手でやさしく変化し、10年、20年と長く使える「相棒」になってくれる。