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アイデアと情熱溢れる作品づくりに、
木の表情がいきいきと蘇る - Herbie Rabbit-

深みのある天然木の色や木目、木肌の美しさをそのままに感じられる木工作品の数々。Herbie Rabbitの作品を眺めながらその手触りを確かめ、木の香りを楽しんでいると、まるで森の中にいるような心地よさに包まれる。



「素材は全て、近所の植木店からいただいたものです」と話すのは、作家の野口さん。「庭木を剪定した時に出た枝から、ちょうど良いサイズのものを集めて持ってきてくれます」。

野口さんに委ねられた剪定枝は、一年かけて乾燥させてから、ワトコオイルを塗られ、作品へと姿を変える。乾燥させることで割れやカビの発生を防ぎ、木が安定するのだそうだ。そこにワトコオイルを塗ると、いきいきとした木肌が蘇る。

-Profile- Herbie Rabbit 野口 隆男さん
もともとは大手メーカーでコンピュータ・ーハードウェアの開発・製造の仕事をしていた野口さん。30年ほど前から仕事とはある意味真逆の趣味で木工製品を作り始め、その世界の魅力に取り憑かれて行った。現在はHerbie Rabbitとして制作・販売を行う。

天然木なので、同じ作品でも一点一点の表情が違う。特に「森の木の色えんぴつ」は、月桂樹や山桜、けやきや楠などのさまざまな枝から生まれているため、太さも違えば質感やうねりも違う。それなのに、手に持つと違和感がなく、手の平になじんでくれるから不思議だ。

木の良さもさることながら、野口さんの手による精緻な細工にも目を奪われる。クローゼットの形をしたアクセサリーボックスは、扉を開けると家具や鏡、絵画などのインテリアが飾られた小さな部屋になる。チェストや額縁や壁掛けハンガーは全て面取りがされており、チェストの引き出しには一つひとつ取っ手が付いている。絵画のように見える絵は、一度ワトコオイルを染み込ませてアンティーク感を出す、というこだわりようだ。

枝そのものの形を生かした「森の木の色えんぴつ(500円)」。
月桂樹や楠は削るたびにふんわりと香りも楽しめる。

制作が簡単そうに見えるフォトフレームでさえ、カットから最終仕上げまで20工程を経てようやく作品になるという。

「樹齢や生えていた角度とか、年輪が狭いか広いかなど、木の模様が微妙に違っていて面白いですね。同じサイズの作品を作るにも、カットの方向に悩みます」と野口さん。そのため、同じサイズのフォトフレームでも一つひとつにサインとシリアルナンバーが付いている。

中世のヨーロッパをイメージした、「アクセサリーハウス(1,000円〜)」は、桐のやさしい質感が魅力。たんすの引き出しやフックに大切なアクセサリーを入れて飾れるように、丁寧に作り込まれている。

手間と時間を惜しみなく使って作り込まれた作品は、当然ながら採算度外視だ。「バカみたい、とよく言われます(笑)。電動工具を使うので危険もあります。でも、それを超えて作ることがとにかく面白い。次はどういうアイデアで何をしようかとワクワクします」。

木への愛情をひしひしと感じる丁寧な作品作りは、多くのお客さんをドキドキワクワクさせる。そして、作り込まれた細工を見て目が点になるお客さんの表情もまた、野口さんの作品作りの楽しさの一つだ。

Herbie Rabbitの職人が、えんぴつ削りをしている光景を描いた作品。
ストーリー性のある世界に引き込まれる。
作品作りを始めると時間を忘れてしまうという野口さん。ユーモアのある言葉の端々に、木への愛情がうかがえる。