色鮮やかな財布やカバンが並ぶ「ハナトイロ」。モロッコの伝統的なキリムとレザーから小物を製作し、アクセサリーや雑貨などと一緒に販売している。
色鮮やかな財布やカバンが並ぶ「ハナトイロ」。モロッコの伝統的なキリムとレザーから小物を製作し、アクセサリーや雑貨などと一緒に販売している。
「キリムは一点一点、モロッコのベルベル族の女性たちが手作業で編んだもの。一つとして同じ柄がないんです」。そう話すのは、作家のilot(イロ)さん。モロッコへ旅行に行った時にキリムに出会い、一目惚れ。このキリムを、もっと身近に持つことはできないかと考え、5年ほど前から小物の製作を始めた。
キリムとは、染色した羊毛を編み上げた絨毯のこと。動物や植物などをモチーフに、どれも彩り豊かに表現されている。しかし、もともとがが大きな絨毯なので、小物に作り変えるとうまく柄が出ないこともある。「キリムは現地で買い付けていますが、気に入ったものが見つからないこともあります。そこで最近では、日本人が好む色目や柄をオーダーして作ってもらっています」とillotさん。そのため、一度にたくさん作ることはできない。
また、キリムは、財布やバッグを作る材料としては目が粗くてほどけやすく、扱いづらい一面もある。そこで、以前イタリアで革職人として働いていたilotさんの経験を生かし、裏に接着芯を貼りわせるなど、技術と工夫でしっかりとした一点モノに仕上げている。「キリムは高価なのでなかなか触れる機会がありませんが、財布に生まれ変わったキリムなら気軽に持てます。モロッコらしい柄や色を楽しんでほしいです」。
イベントに出展する際には、妹の満希さんと一緒に作ったピアスや、満希さんが作ったドライフラワーやプリザーブドフラワーのガーランドなども出品している。店頭には、色鮮やかなキリムとやさしい色合いの花雑貨が並び、たくさんの人の目を引く。「こんな素敵な織物があることを、日本のいろんな人に知ってほしいです」。2人の作品づくりが、モロッコと日本の架け橋になっている。