ポケットにすっぽりと収まるサイズの小さい財布「小さいふ。」シリーズ。サイズ別で4種類ある中で一番人気と言われる「小さいふ。ペケーニョ」はコンパクトなのに小銭も札もカードも入る優れものだ。この「小さいふ。」を主力に、革小物を製作しているクアトロガッツ。奥さんの渚さんがデザインを、ご主人の大也さんが販売を手がけている。
ポケットにすっぽりと収まるサイズの小さい財布「小さいふ。」シリーズ。サイズ別で4種類ある中で一番人気と言われる「小さいふ。ペケーニョ」はコンパクトなのに小銭も札もカードも入る優れものだ。この「小さいふ。」を主力に、革小物を製作しているクアトロガッツ。奥さんの渚さんがデザインを、ご主人の大也さんが販売を手がけている。
「小さいふ。」を見てまず驚くのは、バリエーションの豊かさ。カラーオーダーもできる「世界に一つシリーズ」は、その名の通り全て色が異なるただ一つのデザインで、これを合わせると 何千通りもの色、柄があるという。「誰かと同じものは持ちたくない、という人のためのデザイン。小さな会社だからこそできることです」と渚さん。
「時代の流れに左右されず、半永久的に使えるものを作りたい」いう二人。使用している革は、上質な栃木レザーが中心。フルベジタブルのタンニンなめしで、使えば使うほど革に含まれる油分が浮いてきて、艶が出る。このエイジングこそが、タンニンなめしの良いところだ。
作品は全て手作業で縫製している。「小物は1ミリのズレが大きなズレに繋がるので、ごまかしがきかないんです」と渚さん。ミリ単位での縫製を手作業で行うには、高度な技術が求められるので大量生産はできない。天然の革には傷が付いていることが多く、また部位によって伸びる方向も違うため、裁断には革目を読む技術が求められる。こうした細かな技術は、熟練の職人による手作業でしか実現できない。
上質な素材と職人の技で仕上げられた財布は、誇らしい顔をしている。大也さんは「いつか、お客さんが10年以上前に買った財布をポケットから出して、『兄ちゃんの言うとおり、ツヤツヤになったわ』と言ってもらいたいな、と思っています。そのためにも、とことんいい素材を使うようにしています」と話す。製作を始めて15年、最近、少しずつ、何年も前に買った財布を持って来てくれるお客さんも現れ始めているという。
クアトロガッツでは、作品を通して自分たちの想いを伝えている。例えばその一つとして、毎年3月には、伊達政宗の陣羽織をモチーフに創った革「紫地羅背板五色乱星」で小さいふ。を製作し、その売り上げの全額を「東日本大震災みやぎこども育英募金」へ寄付している。震災のあった翌年に、自分たちで何かできないか、と考えて出した答えだった。
今後はもっと、ダイレクトに誰かの役に立ちたいという。それを作品づくりとどう繋げるか、まだ答えは出ていない。「大きいことを言えば、目指すのは世界平和。微力だけど気持ちは本気です」。共通の想いを抱いて、真剣にものづくりと向き合っている