シンプルな木製什器の上でキラキラと輝く、「丘の上の」アクセサリー。ミニマムなフォルムと繊細な輝きに、幅広い年齢の女性が魅せられている。
シンプルな木製什器の上でキラキラと輝く、「丘の上の」アクセサリー。ミニマムなフォルムと繊細な輝きに、幅広い年齢の女性が魅せられている。
作家は、芸大出身の岡田真弥さんと南野真有美さんのお二人。それぞれに異なる素材を用いて、独自の世界観をアクセサリーに落とし込んでいる。
岡田さんの扱う素材は、主に真鍮と樹脂。草花や石などの自然をモチーフに、その表情や印象を小さなアクセサリーの中に閉じ込める。真鍮は、表面を「磨き・叩き・横叩き」の3種類の仕上げを使い分けて加工し、独特のテクスチャーを生み出している。「使ううちに金色から味のある黄土色へと経年変化します。表情が変わるところがこの素材のいいところですね」。
大学では建築を専攻し、小屋のリノベーションなども手がける岡田さん。「風が吹く方向や光の当たり方まで計算する」といった、建築で磨かれた自然への洞察力が、そのままアクセサリーにも生かされている。真鍮や樹脂といった人工的な素材でありながら、本物の自然のような繊細な表情を生み出せるのはそのためだ。
南野さんは、ガラスビーズを使ったアクセサリーを制作している。モチーフは岡田さんと同じく自然。氷瀑や草につゆがついた情景など、自然の一瞬を切り取って表現しているものが多い。南野さんの感受性が際立つ、繊細でシンプルなアクセサリーは、身につける人を選ばない。「ターゲットを絞らず、誰にでも使えるように作っています。若い女性だけでなくグレイヘアにもよく似合うので、年配の女性も愛用してくれています」
デザインがシンプルなだけに、素材自体の良し悪しはごまかしがきかない。「ビーズによって輝きもヒビの入り方も全く違います。透明度の高いガラスビーズを選んで、均一なものをペアにしています」と南野さん。選び抜いたビーズは、光を受けるとキラキラときらめいて、宝石にも負けない輝きを放つ。
大学を卒業して間もない二人の活動は始まったばかりだ。「自分の感覚で作ったものが人に喜ばれて、日常で身につけてもらえることがうれしいですね。素材それぞれに表情があるので、いろんな素材でものづくりがしたいです」と岡田さん。「失敗を繰り返してようやく一作品できます。一人の作業は孤独ですが、楽しみに待っていてくれるお客さまもいますから。いいものを作りたいですね」と南野さん。二人の作品の幅がこれからますます広がっていくという可能性を感じさせる。