ディアクロのクロワッサンが焼きあがると、辺りに甘い匂いが漂う。多くの人がその匂いに引き寄せられて、クロワッサンを買いに訪れる。
ディアクロのクロワッサンが焼きあがると、辺りに甘い匂いが漂う。多くの人がその匂いに引き寄せられて、クロワッサンを買いに訪れる。
テントの中には、オーブンが2台。1台は生地の二次発酵をするためのもの、もう一台は焼き上げるためのものだ。一次発酵をして成形をしたものを現場で二次発酵させ、それが終わったら焼き上げる。
熱さにも暑さにも負けず、クロワッサンを焼いているのは、木村あいさんと茂原民妃さんの二人。発酵に時間がかかるため、効率が良いとは言えない。ずっしりとしたオーブンの搬入も、焼くときの熱さも、女性2人には楽な仕事ではないが、それでも焼きたてにこだわってきた。「香りも食感も全然違いますよ。ぜひ、焼きたてを食べていただきたいです」と木村さん。
もともとは「DEAR SAND CAFE」という名前で、ホットサンドやサンドイッチを販売していた二人。スイーツとして、クロワッサンにアイスクリームを挟んで提供したところ人気商品になり、完全オリジナルのクロワッサンを新たに考案した。それがディアクロだ。
クロワッサン生地の中に、自家製シロップを染み込ませたたまごケーキが入っていて、外はサクサクとしているのに、噛むと中からケーキ生地がジュワッと出てくる。その新感覚なスイーツは、女性だけでなく子どもにも男性にも人気が高い。
クロワッサンの生地は、神戸のパン職人に特注したもの。パリッとした食感に仕上げるために、バターの折り込み回数を極限まで少なくしているそう。中のたまごケーキは自家製。主張しすぎないように、砂糖にはてんさい糖を使っている。そのやさしい甘さに「おいもを使っているの?」と聞く人もいるほどだ。
プレーンのディアクロ以外にも、チョコやレモン、塩キャラメルなど味の展開もたくさん。どれも、自家製や国産の材料を中心に使っている。「特にお子さんにはレモンが人気。安心して食べてもらいたので、余計なものは加えずに仕上げています」。
実店舗がないので、出店すると聞けばわざわざ買いに来てくれるファンもいて、さまざまな人に助けられてクロワッサンづくりができている、と言う木村さん。
「一次発酵が終わったらすぐに成形しないといけないので、クロワッサンに時間を合わせて生きています。とても手がかかる子なんです(笑)。だけど、すごく可愛い」と笑う。たっぷりと手間をかけて一つひとつ手作りした焼き立てのディアクロは、多くの人にたっぷりと愛されている。