LOHASの魅力を体感できるWEBサイト 「&LOHAS」

ロハスフェスタSDGsオンラインセミナー Webアーカイブ
第1回 海外の環境問題 / 講師:ペオ・エクベリ氏

今、世界で推進されているSDGs。世界の様々な問題を変革するため、国連で採択された国際目標です。ロハスフェスタでは2021年4月、SDGsオンラインセミナーを開催しました。講師はSDGsに取り組む3人の特別ゲスト。今回、セミナーをテキストアーカイブとして公開いたします。SDGsのいろんな事例をぜひ、ご覧ください。

SDGs(エス・ディー・ジーズ):Sustainable Development Goals(サステイナブル・デベロップメント・ゴールズ)の略。


サステナブルな素材「バナナペーパー」のアフリカの生産現場。バナナは一般的な樹木の10~30倍の速度で成長する。バナナペーパーは通常廃棄される茎を活用するため、森林伐採削減につながり、発展途上国に新たな雇用も生み出している。

こんにちは。私はペオ・エクベリと申します。スウェーデン人で、現在、大好きな日本に住んでいます。今回はスウェーデンの環境活動について日本で実行するヒント、そしてスウェーデンでのSDGsに対する取り組み事例をお話しします。
私は20年来、環境活動に取り組み、サステナビリティ(持続可能性)やロハス(健康で持続可能な生活様式)を形にすることを仕事にしています。いま特に重要なのはSDGs(持続可能な開発目標)です。SDGsは、人類が直面するさまざまな問題を2030年までに解決するための国際的な約束です。スウェーデンはSDGsに関して国際ランキングで1位とされています。例えば、家庭ゴミのリサイクル率は50%、CO2は1990年比でほぼ30%削減、グリーン電力が57%、男女平等国際ランキングは5位となっています。
環境問題についての考え方として「人間の解決」と「自然の解決」というものがあります。人間の解決とは人間が能動的に解決を目指すもの。つまり、現在で言うとSDGsです。SDGsには17の目標に169のターゲットがあります。では、自然の解決とは何か。土に戻れるゴミは自然にとっては資源となり、栄養となります。CO2も出ますが、植物が吸収して循環し、出し過ぎません。太陽エネルギーで植物が育ち、動物が植物を食べ生きる。動物の糞や死体は土に戻る。完璧な自然の循環です。還すことができる以上に取らないのが自然のルールです。このルールを知れば、環境にとって正しいことができます。

サステナビリティ・プロデューサー・株式会社One Planet Cafe取締役 ペオ・エクベリ
スウェーデン出身。3大陸の環境ジャーナリストを経て、現職。One Planet Cafeはフェアトレードの会社として、日本・スウェーデン・アフリカをつなぎ、サステナビリティを形にするための事業を行う。サステナビリティのプロデューサーとしても講演多数。著書・共同執筆として、「うちエコ入門」(2007年)、「エコで賢い家」(2015年)。

ところが、化石燃料となると話が違います。化石燃料で移動する動物はいません。私たちは回復できる以上に自然から資源を取り過ぎています。化石燃料を使い、化学物質を作り、自然を汚染しています。自然環境の循環に合わせる社会にしなくてはいけません。自然エネルギーを使い、農薬などを使わないオーガニックで生産し、無駄に捨てず(リデュース)に再利用(リユース)し、再び資源化(リサイクル)する。この循環で回し、最後は土に戻す。スウェーデンではこれを徹底的にやっています。
地球は地上と地下の二つに分けることができます。石油は地下にあります。私たちはこれを地上に持っていってプラスチックにしています。一方、地上のエネルギーとは風力であり水力であり太陽の力です。プラスチックのペンは地下に属します。私が使っている竹のペンは地上のものです。オーガニックな綿は地上、ポリエステルの服は地下。できるだけ地上の資源を使うのが大事なのです。
ではオンライン上で、スウェーデンを訪ねてみましょう! 空港から街への移動では電気自動車のエコタクシーを選べます。風力や太陽光で充電しています。街は、1990年代までは車のためのものでした。今は人間中心です。エコカーしか走れない道路も多くあります。路面電車も復活させました。電車は100%グリーン電力で動いています。

スウェーデンの空港では、「エコタクシー」を選ぶことができる。
さまざまな店舗で掲げられている環境認証ラベル。

コンビニでも、コーヒーはオーガニックでフェアトレード(地球と人に優しいビジネス)認定の製品です。牛乳はオーガニック、ジュースはフェアトレード。包装はあったとしても1枚です。レジ袋は60円もするので使用量はとても減ります。CO2削減やオーガニック、男女平等の実践など100以上の基準を達成すると環境認証ラベルが多くなります。デパートにも大きなラベルが下がっていますね。オーガニックなジーンズ、Tシャツ、フェアトレードの下着を売っています。ここでは無料でジーンズを修理してもらえます。ぼろぼろになると回収し、次を買う際の割引券をくれます。
私の出身地のマルメ市へ行きましょう! かつては原発の街でしたが、サステナブルな街に変貌しました。ヨーロッパ初のカーボンニュートラルな地域です。ある区では100%グリーン電力でまかなっています。バスは生ゴミが燃料です。スーパーマーケットに行ってみましょう。食品に「賞味期限」が記されていますが、「その後でも大丈夫」とも書いてあります。食品ロスを減らすためです。SDGsには食料廃棄を半減させるという目標もありますからね。(目標12の中のターゲット12.3番)

最後に言いたいのは、これからいろんな決断、動きをしようと思う時、自然はどう考えているのか、鳥の動き、木や葉っぱの動きを見て、環境循環に相談してください。人間のサイクルだけを見ずに、自然のサイクルを見て行動しましょう。