ロハスフェスタに出展した「一村一品マーケット」には、タンザニアのコーヒーやキルギスの蜂蜜など、アフリカやアジア諸国をはじめとした各国自慢の品々が並ぶ。出展したのはJETRO(ジェトロ)。開発途上国の名産品を発掘・育成し、持続的な発展を支援し続けている。
JETROの正式名称は「日本貿易振興機構」、経済産業省が管轄する独立行政法人だ。主なミッションには日本の中小企業の海外進出や貿易の推進がある。
そして、そのノウハウを生かした開発途上国の援助も行っており、支援策の一環として2006年から「一村一品キャンペーン」に取り組み始めた。お手本としたのは、1979年に大分県で当時の平松守彦知事が提唱した「一村一品運動」だ。県下の各市町村で全国に通用する特産品を育てる取り組みは高く評価された。それから20数年が経ち、日本政府による開発途上国への支援策として、その取り組みを一村一品キャンペーンに応用したのだ。ジェトロの担当者である皆川幸夫さんは「地域の特産品を発掘し、自立的かつ持続的に世界に通用する商品づくり」を目指しているという。
地域と協調して育てた特産品は、成田空港と関西国際空港の常設店舗や、今年6月にオープンしたECサイト「一村一品マーケット online」などで販売を行っている。
ロハスフェスタに出展した一村一品マーケットでは、支援を受けている国々がその特徴を活かして育てた特産品が並ぶ。キルギスの蜂蜜やガーナの民族楽器など、ユニークな商品の数々に彩られたマーケットを眺めていると、世界を旅しているような気分にさせてくれる。
この一村一品マーケットはどのようにして途上国支援へとつながっているのか?皆川さんはロハスフェスタで販売していたタンザニアのコーヒーを例にとって教えてくれた。「通常はコーヒーを生豆の状態で輸出していますが、単に農産物を輸出しただけでは生産農家の利益は非常に少ないんです。そこで、焙煎と加工を現地で行って、インスタントコーヒーとして販売することにしました。付加価値を付けることで高値で取引できるんです」。
タンザニアと言えば、キリマンジャロで知られる世界的なコーヒーの産地だ。昨今、コーヒーやカカオを始めとした農産物の「フェアトレード(公正な貿易取引)」を推進する動きが盛んだ。しかしその活動は、裏を返せば薄利で買い叩かれる構造がいまだに存在することを意味している。一村一品マーケットでは、各国が元々持っている産業を生かしつつ、ブランド力が高い特産品の醸成を目指し、現地と連携しながら商品開発や販路拡大に取り組んでいる。
皆川さんは、「争いは結局、『食べられないこと』が原因」だと語る。人間の歴史を振り返ると、食べ物や豊かさの奪い合いを繰り返してきた。つまり、食べていくために儲かる産業をそれぞれの国で育てることができれば、持続的な発展を遂げることができるということだ。
今回のロハスフェスタへの出展では一村一品マーケットの認知度拡大を狙いつつ、SDGsの目標達成も掲げている。「この取り組みでは、SDGsにおける17の目標のうち『1.貧困をなくそう、8. 働きがいも経済成長も、9. 産業と技術革新の基盤を作ろう、17.パートナーシップで目標を達成しよう』というテーマが軸になっています」と皆川氏。一村一品マーケットを通じて豊かな国が増えることを目指し、今も精力的な活動を続けている。
一村一品マーケット online
https://ovopmarket.jp/
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)
https://www.jetro.go.jp/