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産学官連携プロジェクトで、ダリアをキャンドルへ再利用

関西大学商学部横山ゼミの学生が中心となり、企業や自治体とともに産学官連携で推進されている「ダリアの花結びプロジェクト」。コロナ禍によるウェディング需要の低迷などに伴い、やむを得ず土に返されてしまいそうになっていたダリアの花の活用法を考えるプロジェクトだ。



全国有数のダリアの生産地として知られる、兵庫県宝塚市上佐曽利地区の「宝塚ダリア園」。ここでは、約6,000平方メートルの広大な敷地で約300種2万株のダリアが栽培され、園芸用の球根や切り花として出荷されている。しかし、コロナ禍の影響を受けて近年、結婚式などイベントにおける切り花需要が減少し、やむを得ずダリアの花を未活用のまま土に返さなくてはいけない事態に直面している。このような生産者の声を耳にしたのが、環境づくりの観点から全国で緑化事業を展開する、株式会社日比谷アメニスだ。
この問題に関して、「花業界だけでなく、地域の方々と世代を超えて連携して何か協力できないか」と考えた日比谷アメニスは、地域の大学である関西大学の地域連携室に連絡。大学内の検討を経て、「社会問題解決のための事業創造活動(ソーシャル・アントレプレナーシップ)と協働」をテーマに研究活動を行なう商学部の横山恵子ゼミがこのプロジェクトに取り組むことになった。

-Profile- 関西大学商学部横山ゼミ+株式会社日比谷花壇+株式会社日比谷アメニス+一般社団法人ジェルキャンドル協会
コロナ禍で需要が減少した「宝塚ダリア園」のダリアの活用方法を見出す、産学連携「ダリアの花結びプロジェクト」を推進。

早速、学生6名でプロジェクトチームを発足した横山ゼミでは、ダリアの花の活用方法を模索。「若者の身近にあるアイテムを作ることで、もっと若者にダリアを知ってもらいたい」という視点から、ダリアのドライフラワーを使ったボタニカルキャンドルの制作を行なうことにした。また、同プロジェクトの趣旨に沿うイベント、ロハスフェスタへ出展し、キャンドルの販売とワークショップの実施を行なうことに決めた。

「宝塚ダリア園」のダリアを再利用し、学生たちが手作りで制作したキャンドル。ダリアの花の色がそのまま生かされている。

プロジェクトの過程では、一般社団法人ジェルキャンドル協会にも協力を依頼。協会の専門的なアドバイスを受けて、試行錯誤を重ねながら、キャンドル作りを進めた。ダリアの開花時期には、実際にプロジェクトメンバーが「宝塚ダリア園」へ足を運び、一つ一つ手作業で花の収穫を行ない、その後、乾燥させてドライフラワーを作る工程なども体験。イベント開催に向け、SNSで告知を行なうなど、集客にも力を入れたという。
 ロハスフェスタの開催当日、会場ブースでは色鮮やかなダリアが敷き詰められたフラワーウォールが来場者を出迎え、学生たちが想いを込めて制作したドライフラワー入りのキャンドルが棚に並んだ。またブース内では、キャンドルやサシェ作りのワークショップが開催され、さまざまな年齢層の参加者たちが学生のレクチャーを受けながら、自分の選んだダリアの花でワークショップを楽しんだ。

ロハスフェスタのブースでは、キャンドルやサシェ作りのワークショップを開催。学生たちが参加者へキャンドルの作り方をレクチャーした。

日比谷花壇でプロジェクトを担当した山室道生さんは、「若い方にダリアの花について知ってもらうよい機会となった。学生主体でプロジェクトを進めてもらうことで、流通・販売も含めた小売りの実践ができる場を提供できたのでは」と話す。「今回のプロジェクトを通して、ものづくりの大変さや集客の難しさを感じた」と話すのは、ゼミ生の中森楓さんと向井楓夏さん。生産者、企業、学生をはじめ、世代や立場を越えた人を結び付け、展開された「ダリアの花結びプロジェクト」。同プロジェクトに携わった人たちやイベントの来場者にその種をのこし、ロスの無い未来が花開くきっかけになっていくのではないだろうか。

ダリアのドライフラワーとおみくじをセットにした「花みくじ」も販売。